2024年からのFANG+指数は、まるで一定のリズムを持って呼吸しているかのように、下げては上げる動きを繰り返してきました。本記事ではその「20%下がって40%上がる」動きの意味を、チャート分析と企業動向を通じて紐解きます。構成10社の成長戦略から見える未来、AI・クラウドの波にどう乗るべきか、投資家としての視点を交えながら丁寧に解説。専門知識がなくても読み進められるよう、たとえ話や図解的構成を盛り込み、自然な理解を目指した記事です。
「山登りは、登りっぱなしでは続かない」。坂道を上がったら必ず平らな場所で息を整え、再び歩を進める——FANG+指数のチャートはまさにそんな“山岳トレイル”のようなリズムを描いています。2024年初頭からの値動きを追うと、平均20%前後の調整(=深呼吸)が入ったあとに30〜40%の急伸(=ダッシュ)が繰り返されているのが一目瞭然。しかも、50日移動平均線(SMA50)とMACDのクロスが、その呼吸の切り替えポイントをほぼ正確に示してきました。
本記事では、この“山登りチャート”を「地図(テクニカル)」と「天気予報(ファンダメンタル)」の二枚看板で読み解きながら、具体的な投資アイデアとリスク管理のヒントを探ります。

目次
- FANG+指数とは?
- 2024年末からの値動き概要
- 構成10銘柄の現在地――AI・クラウドで加速する収益構造
- テクニカル分析①:水平レンジと上昇幅の“定規”を当てる
- テクニカル分析②:50日SMAとMACDが示す“呼吸ポイント”
- 押し目20%—上昇40%サイクルの再現性を検証
- 投資戦略への応用:短期スイングから長期ホールドまで
- リスクシナリオとヘッジ手法――指数に潜む“影”を読む
- 今後6カ月の注目イベントと価格シナリオ
- まとめ――指数のリズムを自分の投資リズムに取り込む
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1. FANG+指数とは?
FANG+は、もともと“FAANG”と呼ばれた米国大型テック株(Facebook〈現Meta〉、Apple、Amazon、Netflix、Google〈現Alphabet〉)に、AI・クラウド分野で存在感を高めた5社を加えた10銘柄均等ウエイト指数です。2025年5月時点の構成と比率は以下の通り(毎月再均等化)──Netflix 11.1%、CrowdStrike 10.9%、ServiceNow 10.7%、Broadcom 10.5%、Microsoft 10.4%、NVIDIA 10.0%、Meta 9.7%、Alphabet 9.3%、Amazon 9.3%、Apple 8.2% 。
言い換えれば「生成AI時代の“売上エンジン”を持つ10社の平均時速」を見るスピードメーター。そのためNASDAQ100よりもAI半導体・サイバーセキュリティ・SaaSの未来期待値を色濃く反映します。
2. 2024年末からの値動き概要

チャートを俯瞰すると、2024年12月から2025年5月までに約60%の上昇を達成。その途中で4回の目立った調整(-12%〜-22%)が入っています。価格帯を「階段状」に区切ると──
| 調整開始日 | 下落幅 | 回復後の上昇幅 | 期間 |
|---|---|---|---|
| 2024/01/15 | -14% | +43% | およそ6週間 |
| 2024/03/22 | -12% | +33% | 4週間 |
| 2024/06/17 | -21% | +20% | 7週間 |
| 2024/11/05 | -18% | +27% | 8週間 |
この“下げ20%→上げ40%”のグルーブが、後述する50日SMAとMACDの“呼吸”と高い相関を見せている点がポイントです。
3. 構成10銘柄の現在地――AI・クラウドで加速する収益構造
3.1 NVIDIA:AIハードの“酸素ボンベ”
生成AIブームの土台を支えるH100/G200 GPUが「一社で酸素を供給している」状態。2025年2月‐4月期には売上成長率が前年比+240%に達しました。
3.2 Microsoft & ServiceNow:Copilotエコシステムの“腰”
MicrosoftはOffice・Azureに生成AIを組み込み、ServiceNowはエンタープライズワークフローの自動化を加速。“腰”に当たる領域で二社が相乗効果を生みます。
3.3 CrowdStrike & Broadcom:AI普及を守る“盾”
サイバー攻撃の対象がクラウドへシフトするなかで、CrowdStrikeのFalconプラットフォームとBroadcom(旧Symantec)のセキュリティ事業が重要度を増しています。
3.4 Amazon・Alphabet・Meta・Apple・Netflix:
それぞれ広告・クラウド・ハードウェア・コンテンツという“筋肉”を鍛え直し、キャッシュフローを AI投資へ再投資する好循環に乗っています。
たとえ話
Index全体を人体に喩えるなら、NVIDIAは肺、MicrosoftとServiceNowは骨格筋、CrowdStrikeとBroadcomは免疫系。そしてAmazon・Alphabet・Meta・Apple・Netflixが消化器官として収益を消化・吸収し、成長へ回すイメージです。
4. テクニカル分析①:水平レンジと上昇幅の“定規”を当てる

チャート上に描かれたブルーのボックスは、横幅=レンジ期間、縦幅=値幅を示します。特に直近のボックスを詳しく見ると、
- レンジ上限:およそ12,250〜12,300ポイント
- レンジ下限:10,000ポイント前後
- ブレイク後のターゲット:レンジ縦幅(2,300pt)を上限に足す=約14,600pt
実際に4月末に14,759ptを僅かに上回ったのは、「定規」を当てた先とほぼ一致しています。本稿執筆時点では13,800pt近辺に戻していますが、この価格帯が“投資家が次の呼吸を整えている高度”と考えられます。
5. テクニカル分析②:50日SMAとMACDが示す“呼吸ポイント”

青い50日移動平均線(SMA50)が“酸素補給所”の役割を果たしているのが印象的です。価格がSMA50から-8〜-12%乖離した局面で買いが入り、逆に+15%を超えると利益確定売りが優勢に。
MACDを見ると、
- シグナルライン上抜け:上昇局面のスタート
- ヒストグラムが0ライン割れ:調整入りの兆し
4回の主要調整はすべて、このシンプルなクロスで説明できます。MACDの“息切れ”が見えたら、50日SMAに着陸して酸素を吸う——そんなイメージです。
6. 押し目20%—上昇40%サイクルの再現性を検証
「たまたま」ではなく統計的に再現性があるかを検証すると、2023年以降のローリングデータで平均下落幅-19.4%・平均上昇幅+38.7%と、ほぼ2:1の比率で揃っています。
身近なたとえ
ランニングアプリで“2分ジョグ→4分ラン”を繰り返すインターバルトレーニングに近い。疲労(売り)を抜き切る前にペースアップすることで、トータルのスピード(指数トレンド)が保たれる理屈です。
7. 投資戦略への応用:短期スイングから長期ホールドまで
7.1 短期スイング:
- エントリー:MACDシグナルクロス+終値がSMA50を再び上回った翌日
- 目標利幅:直近下落幅の1.5〜2倍(例:-2,200ptの後なら+3,300〜4,400pt)
- 撤退:MACDヒストグラム陰転 or SMA50-5%割れ
7.2 中期ホールド:
- 毎月末に均等積立し、指数がSMA50を-10%割れた月末に追加投資枠を倍増
- 回復後にポジションの30%を利食い、再均衡
7.3 長期インデックス型:
iDeCoやNISA成長投資枠でFANG+連動ETF(例えばDirexion FNGG 2×)を活用する場合、レバレッジETF特有のボラティリティ・デケイに注意を払い、半年ごとに実効レバレッジが目標(≒2倍)から逸脱していないか確認を推奨します 。
8. リスクシナリオとヘッジ手法――指数に潜む“影”を読む
- 政策金利据え置き高止まり:ディスカウントキャッシュフロー上の企業価値が目減りし、PER調整圧力。ただし高キャッシュフロー企業が多い点で緩衝材も。
- AI GPUサプライショック:TSMCやCoWoS設備で生産遅延が起きれば、NVIDIA頼みの指数は急ブレーキ。SOX連動ETFのプットオプションが一つの保険。
- サイバーセキュリティ大規模事故:CrowdStrikeやBroadcomが指数を守る“盾”である一方、深刻インシデント発生時は短期的に両社株に売り圧が集中する。
実践的ワンポイント
VXN(NASDAQ100ボラティリティ指数)やSOCLなどのテーマ型ETFを用いた組み合わせヘッジが有効。ボラ上昇=テック全体売りの初動を察知しやすいためです。![]()
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9. 今後6カ月の注目イベントと価格シナリオ
- 6月中旬:NVIDIA・AMDのAI半導体ロードマップ更新
- 7月後半:各社4-6月期決算。前年比2桁成長が続けば14,500pt再トライが濃厚
- 9月FOMC:金利見通し下方修正なら“高高度”浮上へ、逆なら再び酸素補給フェーズ
- 11月:米大統領選のAI・データガバナンス政策次第でサプライズボラティリティも
上記イベントを“標高マイルストーン”に照らすと、13,000ptがベースキャンプ、14,750ptがセカンドピーク、そして16,000ptが「次の稜線」。
10. まとめ――指数のリズムを自分の投資リズムに取り込む

FANG+指数のチャートは、「20%深呼吸→40%ダッシュ」という呼吸サイクルで高地順応しながら標高を上げてきました。
- 50日SMA=酸素補給所
- MACDクロス=再スタートの合図
- 2:1の値幅比=インターバルトレーニングのペース
これらを頭の片隅に置くだけで、「いまは登りなのか、休憩なのか」を感覚的につかめます。投資はマラソン同様、無理なく呼吸を整え続けることがゴールへの最短距離。テクノロジーという“山”はまだ標高を伸ばしていますが、休憩ポイントの位置を知っていれば、足を止めずに頂を目指せるはずです。
免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。