日本の2大航空会社JAL(日本航空)とANA(全日空)、そして世界トップクラスのシンガポール航空。それぞれの国際線について、運賃動向や路線網、使用機材と座席仕様、機内エンタメ・サービス、主要ハブ空港の特徴を徹底比較します。特にシンガポール航空+チャンギ空港経由のメリットにフォーカスし、ヨーロッパやハワイ、アメリカ西海岸など直行便がある都市でも経由便がお得になる事例や、チャンギ空港での乗り継ぎの快適さ・無料市内観光ツアーなど魅力を紹介。

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海外旅行や出張で航空会社を選ぶとき、皆さんは何を重視しますか?料金の安さ、路線の充実度、それとも機内サービスの質でしょうか。日本を代表するJAL(日本航空)とANA(全日本空輸)は、いずれも評判の高いフルサービス航空会社。一方、アジアのハブであるシンガポール航空も世界トップクラスのサービスで知られています。アジア近距離からハワイ、ヨーロッパ、アメリカ西海岸、さらにはモルディブやセーシェルといったリゾートまで、目的地によってどの航空会社を選ぶべきか悩む方も多いでしょう。

本記事では、これら3社の国際線エコノミー・プレミアムエコノミー・ビジネスクラスをプロの視点で徹底比較します。運賃の傾向(主要都市の価格帯や季節変動)、就航地(路線網)の広さ、使用機材と座席の快適性・機内エンタメやサービス、そして各社のハブ空港(JAL・ANAは成田/羽田、シンガポール航空はチャンギ)の特徴まで網羅します。

特に後半ではシンガポール航空+チャンギ空港経由という選択肢に注目します。たとえJALやANAが直行便を飛ばしているヨーロッパ各都市やハワイ、アメリカ西海岸への旅でも、あえてシンガポール経由にすると運賃が安くなるケースがあります。また、世界最高クラスのチャンギ空港での乗り継ぎ体験(短い乗継所要時間、充実した施設、無料のシンガポール市内ツアー、快適なラウンジ利用など)の魅力もご紹介。「時間を取るか、お金を取るか」というフライト選びの悩みに対し、経由便ならではの楽しみ方とメリットをお伝えします。さっそく比較を始めてみましょう。

目次

  1. 運賃の傾向と価格帯 – 主要都市の料金比較と時期による違い
  2. 就航地の広さと路線ネットワーク – カバーする都市数と主要エリア
  3. 使用機材と座席仕様の比較 – エコノミー・プレミアムエコノミー・ビジネスクラスの快適性
  4. 機内エンターテインメント・サービスの違い – Wi-Fiや機内食、日本語対応など
  5. 主要ハブ空港と乗り継ぎ環境 – 成田・羽田 vs. チャンギ空港の特徴
  6. シンガポール航空+チャンギ空港経由の魅力
    6.1. チャンギ空港での乗り継ぎやすさと快適性
    6.2. 経由便だから安い!直行便よりお得になる具体例
    6.3. シンガポール航空が提供する全クラスでの利便性・サービス
    6.4. シンガポール航空+チャンギ経由で行きやすい人気都市(国別・8カ国)
  7. まとめ – どの航空会社を選ぶ?経由のメリットを活かそう

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1. 運賃の傾向と価格帯

まずは航空券の料金から比較してみましょう。結論から言えば、JALとANAの国際線エコノミー運賃はほとんど差がありません。例えば2025年1月の東京~ソウル往復最安値では、JALが約51,000円、ANAが約53,000円とほぼ同等でした。年間を通しても大きな差はなく、「どちらもコスパは高い」と言える水準です。したがって日系2社(JAL・ANA)の場合、価格だけで優劣を付けるのは難しいでしょう。

一方、シンガポール航空(SQ)の運賃はどうでしょうか。シンガポール航空もフルサービスキャリアのため、基本サービス込みの運賃体系です。注目はプロモーションや経由便を活用した場合の安さです。実際、東京~シンガポール往復のエコノミー料金を2023年夏季で比較すると、シンガポール航空の平均約89,000円に対し、JALは約112,000円と割高でした。ビジネスクラスでもSQが約375,000円、JALは約403,000円と、サービス品質が同等なのにシンガポール航空の方が安いことが分かります。同様にANAとの比較でも、2023年2月時点でシンガポール航空はANAよりエコノミー・ビジネスともに割安でした。このように、特定の路線ではSQの方が日系より安い傾向が見られます。

では、日本発着の他の長距離路線ではどうでしょうか。一般的に「直行便より乗継便の方が安い」のは多くの路線で当てはまります。理由は直行便は需要が高く高値でも売れるのに対し、乗継便は時間がかかる分、価格を下げて乗客を誘致するためです。まさに「時間を取るか、お金を取るか」の選択になります。例えば東京~ヨーロッパ(パリ)の場合、直行便の往復は14時間×2で約30万円~が相場に対し、乗継ぎ1回だと所要+7時間で約19万円~(-11万円)というケースがあります。実際、羽田~パリ直行便(ANA/JAL/エールフランス)は約37万円~でしたが、乗継便ではエミレーツ18万円(ドバイ経由22時間)、タイ航空19万円(バンコク経由20時間強)など10万円以上安い例が出ています。乗継便にすれば費用が大きく抑えられ、その分現地での滞在費に回せるメリットがあります。一方、休暇日数が限られる場合やリスクを減らしたい場合は直行便が安心です。

ハワイ・北米西海岸についても、直行便需要が高いため直行便運賃は高めです。例えば東京~ロサンゼルスの直行便はANA/JALで往復20~25万円台が一般的ですが、経由便を選べば10万円台前半から見つかることもあります。事実、ある検索ではANA直行約22.2万円、JAL直行約21.6万円に対し、他社経由便は10万円台という価格差が出ていました。シンガポール航空の場合、日本から米西海岸へはシンガポール経由になります。距離的には遠回りですが、販売戦略上経由でも利用者を増やすため直行より割安に設定されることが多いです。「時間はかかっても出費を抑えたい」という方には、こうした経由便の活用がおトクです。

季節要因も触れておきましょう。JAL・ANAは日本の繁忙期(ゴールデンウィーク、お盆、年末年始など)に運賃が跳ね上がる傾向があります。例えばヨーロッパ行き直行便はハイシーズンに往復40~50万円台になることもあります。一方、シンガポール航空など経由便は各国の需要分散もあって比較的価格変動が緩やかです。同じ夏休みシーズンでも、直行便が満席高騰する中、経由便ならまだ割安チケットが残っているというケースもしばしば見られます。

なお、燃油サーチャージなど付加料金もチェックしましょう。JAL・ANAはシンガポール市場のケロシン(航空燃料)価格に基づき2ヶ月ごとに燃油サーチャージ額を見直します。シンガポール航空も同様に燃油料を設定しています。燃油価格高騰期には各社ともサーチャージ額が上がるため総額運賃に影響します。しかしサーチャージ規定は各社共通性が高く、この点での差異はあまりありません。

まとめると、運賃面ではJALとANAは互角、シンガポール航空は路線や時期によっては日系より安い場合が目立ちます。特に乗継便を活用すると「直行便より+○時間で-○万円安い」という明確なメリットが得られます。航空券代を節約したい方は、時間と手間をかけて経由便に乗る価値が十分あるでしょう。一方、多少高くても最短で目的地に着きたい場合は直行便のJAL・ANAが安心です。このように費用vs時間のトレードオフを念頭に、自分の重視ポイントで選ぶのがおすすめです。

2. 就航地の広さと路線ネットワーク

次に各社の路線網の広さ(就航都市数や主要エリアのカバー率)を比較します。世界のどの地域に強いのかを把握すると、自分の行きたい場所にどの航空会社が便利か見えてきます。

JAL(日本航空)は世界60都市に路線を展開し、特に北米路線に力を入れているのが特徴です。ロサンゼルスやニューヨーク、サンフランシスコ、シカゴなどアメリカ主要都市への直行便が多く、観光のみならずビジネス利用者も多数います。ハワイ(ホノルル)やグアムなどリゾート路線もJALは昔から人気ですね。一方ヨーロッパ方面はロンドン、パリ、フランクフルトなど限られた主要都市が中心で、中東・アフリカ方面の自社便はほとんどありません(他社とのコードシェアで補完)。アジア域内はバンコクやシンガポール、ジャカルタ、上海・北京、シドニーなど主要都市はカバーしますが、ASEAN諸国の地方都市やインド・中東への直行便は少なめです。このあたりはワンワールドアライアンス加盟によって、提携先の路線を活用して補っています。

ANA(全日空)は世界50都市に就航。アジア路線が豊富で、特に東南アジア(シンガポール・バンコク・クアラルンプール・ジャカルタ等)や中国本土への路線が充実しています。近年はインド(ムンバイ・デリー)や豪州(シドニー・パース)なども拡大しました。北米もJAL同様に主要都市を網羅(ANAはヒューストンやメキシコシティへの路線も展開した実績あり)し、ヨーロッパもロンドン、パリ、フランクフルト、ブリュッセル、ウィーン、ミラノなど徐々に拡大しています。ANAはスターアライアンス加盟でユナイテッド航空やルフトハンザなど強力な提携先がいるため、乗継ぎを含め世界中にアクセス可能です。ただし自社運航に限ると、JALと比べ北米直行便はやや少なめ(JALが就航しているボストンやダラスなど未就航都市も)で、その代わり東南アジアや中国のネットワークが手厚いという違いがあります。

シンガポール航空(SQ)は本拠地シンガポール・チャンギ空港を拠点に、世界5大陸に路線を持つグローバルキャリアです。グループのLCC「スクート(Scoot)」と合わせると180機以上の航空機で110を超える都市にネットワークを広げているのが強みです。ヨーロッパだけでもロンドン、パリ、フランクフルト、ミュンヘン、チューリッヒ、マンチェスター、ローマ、コペンハーゲンなど多数の都市へ就航(アジア系航空会社では最多クラス)。アメリカもロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトル、ニューヨーク(北米最長の直行便も運航)などカバーし、カナダや南アフリカ(ヨハネスブルク)への路線も持ちます。さらにモルディブ(マレ)やモーリシャス、南アジア、中東、豪州・ニュージーランド等への路線も充実しており、観光リゾートから長距離ビジネス路線まで網羅する幅広いネットワークが特徴です。「日本から直行便がない都市でも、シンガポール経由なら行ける」というケースは非常に多く、チャンギ空港を経由地に世界中20地域・110以上の目的地へ旅客を送客しています。これはJALやANAの就航範囲を大きく上回ります。

以上をまとめ、3社の路線・ハブ情報を比較表にしてみました。

航空会社主要
ハブ空港
就航都市数
(国際線)
アライアンス路線の強み
JAL
 (日本航空)
成田・羽田
(東京)
※関西や中部にも一部国際便
約60都市ワンワールド北米路線に強み(ロサンゼルス、NYなど直行便
多数)
ハワイ・グアム等リゾート路線も
充実
欧州は主要都市中心、その他は提携便活用
ANA 
(全日空)
成田・羽田
(東京)
約50都市スターアライアンスアジア路線が豊富(東南アジア・中国に充実)
欧米も主要都市を網羅
スターアライアンスで世界中にアクセス
シンガポール航空チャンギ
(シンガポール)
110都市以上
(スクート含む)
スターアライアンス世界5大陸に広大なネットワーク
欧州多数・米国西海岸~東海岸まで就航
南アジア・アフリカ・南太平洋やリゾート路線も網羅

※就航都市数はおおよその目安。JAL/ANAはコードシェア含まず自社便、SQはグループ全体(LCC含む)の数字です。

ご覧のように、日系2社は日本発着の需要が高い路線(北米・アジア主要都市・欧州主要都市)をカバーしており、日本人旅行者に使いやすいネットワークです。一方、シンガポール航空は地理的な利点を活かし、東南アジアの中心から世界各地へ路線を持つため、「日本から直行便が飛んでいない都市でもシンガポール経由なら1ストップで行ける」ケースが非常に多いです。例えばモルディブのマレや南アフリカのケープタウンなど、JAL/ANAでは行けない場所もSIAならシンガポールで乗り継いで行けます。逆に日本国内の地方都市への路線はJAL/ANAが強いですが、シンガポール航空は日本では成田・羽田・関空・名古屋・福岡など主要空港に限定されます。このように「行き先によって得意分野が異なる」のが3社のネットワークの特徴です。

なお、各社とも自社便だけでなくアライアンス提携を通じた他社便ネットワークも利用可能です。JALはワンワールド加盟でアメリカン航空やブリティッシュエアウェイズ等14社と連携し、ANAとシンガポール航空はスターアライアンスで26社と連携しています。そのため「この都市にはJAL/ANA/SQの直行便がないな」という場合でも、提携会社便との乗り継ぎで世界中ほぼカバー可能です。例えばJALはカタール航空との提携でアフリカ諸都市へのアクセスを提供し、ANAはエアインディアとの提携でインドの地方都市までカバーする、という具合です。

まとめると、旅行先が北米やハワイ中心ならJALが路線の強さで有利、アジア各国や中国に多く行くならANAが便利、より多彩な国々(ヨーロッパ全域やリゾート地含む世界中)へ行くならシンガポール航空のネットワークが頼もしいと言えます。それぞれのハブ空港(羽田/成田 vs シンガポール)による地理的な違いもありますが、その点は後述するハブ空港セクションで詳しく比較しましょう。

3. 使用機材と座席仕様の比較(エコノミー・プレミアムエコノミー・ビジネス)

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続いて、機材(使用している航空機)と座席の仕様を見ていきます。長時間のフライトではシートの快適性や配置も重要です。エコノミー・プレミアムエコノミー・ビジネスクラスそれぞれで、3社にどんな違いがあるのか比較しましょう。

機材の傾向

まず航空会社ごとの主力機材です。JALとANAは共にボーイング777型機・787型機が国際線の主力で、大型機を中心に運航しています。JALは最近エアバスA350-900も一部路線に導入し、静かな客室と低燃費で評判です。一方ANAは成田~ホノルル線に総2階建てのエアバスA380を投入するなど話題になりました。基本的に日系2社の機材ラインナップと平均機齢には大きな差はなく、どちらも最新鋭機を積極導入しています。

シンガポール航空はボーイングとエアバス両方をバランス良く運航しています。主な機材はB777-300ER/200ER、B787-10、A350-900、A380-800など。特にA380ではファーストクラスを超える「スイートクラス」という究極の個室を設けるなど話題となりました(今回比較対象外のファーストですが、SIAの象徴的存在です)。SQは大型機A380から中型A350、リージョナル用のB787-10やA330まで揃え、路線に応じて最適な機材を投入しています。どの航空会社も安全性には最新の注意を払っており、機材の新しさ・メンテナンス水準は世界トップクラスなので安心です。

エコノミークラス座席の広さ・配置

エコノミー席の快適性を左右するのはシートピッチ(前後間隔)とシート幅です。JALとANAのエコノミー席は基本的に幅約46cm、シートピッチ約86cmとほぼ同じ標準サイズです。実際、「JALとANAのエコノミー座席サイズに違いは感じない」と言われます。ただしJALは一部機材で「SKY WIDER」と呼ぶゆったり仕様を採用しており、その場合シート幅が約48cmとANAより広めです。典型例がJALの787-8国際線仕様で、横8席配置(2-4-2)とし幅を確保しています。対してANAや他社の787は横9席(3-3-3)が多く、その場合一席あたりの幅はやや狭くなります(約43~44cm程度)。この点でJALのこだわり(あえて座席数を減らし客の快適性を優先)が評価されることもあります。

シンガポール航空のエコノミー席も機材によりますが、おおむねシートピッチ32~34インチ(約81~86cm)で標準的です。シート幅は機種によって17~19インチ(43~48cm)程度。例えばA350や787では3-3-3配置で幅約45cm、A380では3-4-3配置で幅約48cmといった具合です。最新のA350やB777-300ERでは全座席に11インチ以上の大画面モニターやUSB電源も備わり、長時間でも退屈しない工夫があります。結論として、エコノミー席の広さはJAL・ANA・SIAとも大差ないと言えます。ただJALの一部仕様(SKY WIDER)が他よりわずかに広いくらいで、体型が標準的な方なら違和感はないでしょう。むしろ機内食やエンタメ、サービスの違いが体感に影響すると思いますが、それは次章で触れます。

プレミアムエコノミーの特徴

3社ともプレミアムエコノミー(プレエコ)席を主要路線で導入しています。エコノミーとビジネスの中間のクラスで、近年人気が高まっています。それぞれの特徴を簡単にまとめると:

  • JALプレミアムエコノミー:「SKY PREMIUM」シートを採用し、シートピッチ約42インチ(107cm)と足元ゆったり。2-4-2配置(機材により2-3-2)で幅も約49cm確保。シートは深めにリクライニングし、レッグレストやフットレストも付属。機内食はエコノミーとは別メニューが提供され、アメニティも少し充実。受託手荷物はエコノミー同様2個まで23kg無料。
  • ANAプレミアムエコノミー:「ANAプレミアムエコノミーシート」はシートピッチ約38~40インチ(97~102cm)程度、幅約48cm前後。JALより若干ピッチは短めだが、それでも通常エコノミーより20cm近く広いので快適です。ハードシェル型の椅子を採用し、前席が倒れてきても圧迫感が少ない設計。機内食はエコノミーと基本同じですが、飲み物や軽食で若干サービスが良いケースも。荷物は2個まで無料。
  • シンガポール航空プレミアムエコノミー:2015年導入の比較的新しいクラス。シートピッチ約38インチ、幅約19.5インチ(49.5cm)と各社中間的なサイズ。2-4-2配置が多く、各席にカップホルダーや読書灯などビジネスクラス譲りの機能を備えます。特筆すべきは「ブック・ザ・クック(Book the Cook)」サービスで、事前にメインコースを数種類の特別メニューから予約できること。これは本来ビジネス以上のサービスですが、SQではプレエコでも提供されます。またアメニティキットやノイズキャンセルヘッドホンが用意されるなど、かなりビジネスクラスに近い扱いです。荷物許容量も2個(各23kg)無料で安心です。

総じてプレエコはどの社も「エコノミーのストレスを大幅軽減し、ビジネスの半分程度の価格」で提供している印象です。座席の差異は細かいものの、JALはピッチ広め・ANAはシェル型でプライバシー重視・SQはサービス面で充実といった違いがあります。快適さ重視ならJAL、バランスならSQ、みたいな選び方もできるでしょう。

ビジネスクラスの座席・サービス

ビジネスクラスともなると各社かなり趣向を凝らしています。JAL・ANA・シンガポール航空はいずれも世界トップレベルのビジネスクラスを持ち、フルフラットシートで快適な空の旅を提供します。それぞれ一言で表すと:

  • JALビジネスクラス:「SKY SUITE」シリーズのシートを投入。フルフラット完全水平ベッドとなり、1-2-1配置で全席通路アクセス確保。B777など一部には扉付きの個室タイプ「JAL SKY SUITE III」も導入しています。シートの評判は高く、イギリスのSKYTRAX社格付けでは4.5スター・世界13位にランキングされています。機内食は和食・洋食コースを選べ、シャンパンや日本酒など飲み物も充実。JALは特に和のサービスに定評があり、茶室を模したアメニティや和テイストの機内食(懐石風のお膳)など日本らしさを感じられます。
  • ANAビジネスクラス:「ANA BUSINESS STAGGERED」および最新の「THE Room」シートを展開。THE Room(ボーイング777-300ERの一部に導入)は横幅が非常に広い扉付き個室で、世界的にも評判となりました。SKYTRAXではANAの長距離ビジネスクラスは5スター評価・世界2位の高評価を得ています。サービス面ではANAらしいホスピタリティ重視で、リクエストに対するきめ細かな対応や、日本人シェフ・ソムリエとのコラボ機内食、豊富な特別食メニューなどが強みです。アメニティは英ブルガリ社とのコラボポーチなど高級感があります。
  • シンガポール航空ビジネスクラス:言わずと知れた「空飛ぶ高級ホテル」。全席が通路アクセス可能な1-2-1配置で、シート幅はなんと約30インチ(76cm)にもなる独自のゆったりシートを装備(A380/773ER旧シートの場合)します。他社にない特徴として前向きにフルフラットにすると斜めに寝るレイアウトがあり、超ワイドなベッドを実現しています。新世代シートでは若干幅を抑えつつも個室感や収納を向上。サービスはクルーの質の高さが有名で、SKYTRAXランキングでも常に上位(2022年は世界3位)。Book the Cookで事前にロブスターや和牛フィレなどグルメ料理を予約できるのも人気です。アメニティは特製のペンハリガン(英高級ブランド)セット、ラウンジも各地にSilverKrisラウンジを用意するなど至れり尽くせり。総合力で見れば「やはりSQビジネスは別格」と称えるファンも多いです。

使用機材と座席仕様の比較表(JAL・ANA・シンガポール航空)

項目JAL
(日本航空)
ANA
(全日本空輸)
シンガポール航
(SQ)
主力機材B777・B787・
A350-900(最新導入)
B777・B787・
A380(ホノルル線)
B777-300ER/200ER・B787-10・A350-900・A380-800
エコノミー
座席仕様
幅:約46cm(SKY WIDER仕様では約48cm)、
ピッチ:約86cm
一部787で横8席(2-4-2配置)採用
幅:約46cm、
ピッチ:約86cm
多くは787で横9席(3-3-3配置)
幅:約43〜48cm、
ピッチ:約81〜86cm
A350/787は3-3-3配置、A380は3-4-3配置
全席に大型モニター・USB電源搭載
プレミアムエコノミー
座席仕様
「SKY PREMIUM」シート
幅:約49cm、
ピッチ:約107cm
2-4-2配置(機材によっては2-3-2)
レッグレスト・フットレスト付
幅:約48cm、
ピッチ:約97〜102cm
ハードシェル型で前席のリクライニング影響少ない
2個まで23kg手荷物無料
幅:約49.5cm、
ピッチ:約97cm(38インチ)
2-4-2配置
Book the Cook利用可
ノイズキャンセルヘッドホン・アメニティあり
ビジネスクラス
座席仕様
「SKY SUITE」シリーズ
1-2-1配置で全席通路アクセス
フルフラットベッド、扉付き個室タイプもあり
和のテイストある機内食が人気
「ANA BUSINESS STAGGERED」「THE Room」シート
THE Roomは扉付き超ワイド個室型で世界最高評価クラス
SKYTRAX 5スター
1-2-1配置全席通路アクセス
幅:約76cmのワイドシート(旧型A380/B777)
前向きフルフラットで斜めに寝る独自設計
Book the Cookでロブスターなど事前予約可
ペンハリガン製アメニティ

ポイントまとめ

  • JAL:エコノミーで「SKY WIDER」仕様を採用するなど、あえて座席数を減らして快適性を重視する姿勢が特徴。プレエコも広め。和の機内食やサービスが強み。
  • ANA:最新の「THE Room」ビジネスクラスは世界トップ評価。プレエコはシェル型で圧迫感が少なく、長距離でも快適。
  • シンガポール航空:A380・A350など最新機材を幅広く導入。プレエコでも「Book the Cook」が使えるなどサービスが豪華。ビジネスクラスは世界屈指の「空飛ぶホテル」と呼ばれるレベル。

サービスやシートの違いはあれど、どの社のビジネスクラスもハイレベルで甲乙つけ難いのが正直なところです。の比較によれば、2019年時点でANAが世界2位、SQが3位、JALが13位の評価でしたが、近年JALも新シート導入で追い上げています。強いて言えば、JAL/ANAは「和の細やかさ」、SQは「エレガントで洗練されたサービス」といったカラーの違いがあります。例えば客室乗務員の所作一つとっても、JAL/ANAは控えめで丁寧、日本語での細かな気配りが利くでしょう。一方シンガポール航空のクルー(いわゆる“シンガポールガール”)は優雅でホスピタリティは高いものの、日本的なサービスは控えめです。ビジネスクラス以上では特に、どのスタイルが自分に合うかも航空会社選びのポイントになりそうです。

4. 機内エンターテインメント・サービスの違い

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座席の次は、機内で受けられるサービス全般を比較します。具体的には機内エンターテインメント(映画・音楽等)、Wi-Fiや電源、機内食の質、言語対応、その他アメニティなどです。「空の上で快適に過ごせるか?」は航空会社ごとの特色が表れやすい部分でもあります。

機内エンターテインメントと日本語対応

映画や音楽、ビデオなどの機内エンターテインメントは3社とも最新システムを備えています。JALは「MAGIC」というシステム名で邦画・洋画・アニメ・ゲームなど幅広く用意。ANAも同様に豊富なコンテンツを持ち、さらに電子書籍サービス「eライブラリ」で雑誌や新聞をタブレットで読める工夫もあります。JAL/ANAは日本発着便ということもあり、日本語コンテンツが充実しているのが強みです。邦画はもちろん、NHK大河ドラマやバラエティ番組、落語やキッズ向け番組まであり、日本のお客様が退屈しないよう工夫されています。

シンガポール航空の機内エンタメは「KrisWorld(クリスワールド)」という名称で、世界的にも評価の高いシステムです。1000本以上の映画・テレビエピソード、数百の音楽アルバム、ゲームに至るまで幅広い選択肢があります。画面も大型・高画質で操作性も良好です。ただ、前述の日本人利用者の体験談では「日本語の番組が限られていて選ぶのに苦労した」との声もあります。事実、SQはグローバル航空会社なので日本語吹替や日本語字幕の作品数はJAL/ANAに比べると少なめです。日本のドラマやお笑い番組といったニッチなコンテンツは期待できません。そのため、「英語が苦手で日本語番組中心に楽しみたい」という方には日系の方が有利です。一方、「どうせ洋画を見るから問題ない」「語学の勉強だと思って英語字幕で観る」という方ならSQでも十分でしょう。

機内Wi-Fi・ネット接続サービス

近年は機内Wi-Fiの有無・料金も重要になってきました。ここに大きな違いがあります。2023年現在、JALとANAはエコノミークラスでは基本有料(一定条件で一部無料)なのに対し、シンガポール航空は全クラスで無料Wi-Fiを提供し始めました。

  • JALのWi-Fi: エコノミークラスでは「1時間無料」プランが用意されています。最初の1時間は無料で利用でき、その後は有料プランに移行(時間無制限プランなどをクレジットカード決済で購入)という形式です。ビジネスクラス以上の乗客はフライト中ずっと無料で接続可能です。ただ速度はメールや簡単なWeb閲覧程度で、動画視聴は難しいことが多いです。
  • ANAのWi-Fi: エコノミーではテキストメッセージの送受信のみ無料というユニークな方式です。具体的にはLINEやWhatsAppなどのテキストチャットは無料接続OKですが、それ以外の用途(ブラウジング等)は有料プラン購入が必要。30分約6.95ドルなどのパッケージがあります。ビジネス以上はANAも全て無料です。
  • シンガポール航空のWi-Fi: 2023年7月より画期的なサービスを開始しました。それは「クリスフライヤー会員はエコノミーでも無制限の無料Wi-Fi」というものです。クリスフライヤーは誰でも無料登録できるマイレージ会員なので、実質全乗客がメールアドレス登録さえすればフライト中ずっとネット使い放題になりました。ファースト・ビジネスはもちろん、それ以外の乗客も事前に会員番号を予約に入れておけばOKです。この太っ腹な施策は世界でもトップクラスで、実際「シンガポール航空の無料Wi-Fi、フライト中ずっと無制限で使えるのはありがたい!」との声もあります。※非会員の場合は1時間USD3.99など有料プランもあります。速度はそれほど速くないですが、テキスト中心なら問題なく、SNS閲覧や簡単な動画なら楽しめるレベルです。

このように機内ネット環境ではシンガポール航空が頭一つ抜けています。メールやSNSで地上と連絡を取り合いたいビジネス旅客には大きな利点でしょう。ただし、「機内くらいネットなしでのんびりしたい」という方には優先度は低いかもしれませんね。

機内食の質とサービス

シンガポール航空 エコノミークラス機内食(2025年3月)羽田ーシンガポール

機内食は旅の楽しみの一つですが、3社とも工夫を凝らしています。JALは「空の上でもレストラン品質を」ということで、有名シェフ監修メニューを用意したり、「AIRシリーズ」と称して吉野家・モスバーガーなど人気チェーンとコラボした創作メニューをエコノミーにも提供しています。ファーストクラスでは高級和食懐石まで出すほどで、エコノミーでも味への評価は高いです。

ANAはミシュラン星付きレストランとのコラボ機内食や多彩な特別食で知られます。和食・洋食どちらも定評があり、特に宗教食やアレルギー対応食のラインナップはJAL以上に充実しています。ヴィーガン、ヒンズー教向け、イスラム教ハラール食、ユダヤ教コーシャ食など世界各地のニーズに応えており、グローバルに評価が高いです。

シンガポール航空 エコノミークラス機内食(2025年3月)シンガポールー羽田

シンガポール航空は機内食の豪華さで有名です。全クラスのメニュー開発に国際的なシェフチームが関わっており、エコノミーでも「チキンライス」や「ラクサ」といったシンガポール名物料理を出すことがあります。先述の「Book the Cook」サービスでは、ビジネスクラス以上で伊勢海老のテルミドールや和牛ステーキなどを事前予約でき、大好評です。エコノミーにはそこまで豪華ではないにせよ、味付けは比較的万人受けするものが多く、東南アジア系メニューは本場の味が楽しめます。また、SIAは飲み物(アルコール類)の無料提供にも積極的で、エコノミーでもビールやワインを自由にもらえます。これはJAL/ANAも同様に提供しますが、日本発だと日本酒や梅酒など和のお酒があるのに対し、SQはシンガポールスリング(カクテル)を出すなど自国色を出しています。

クルーのサービスと文化的な違い

クルーのサービス面では、JAL/ANAはきめ細かな気遣いが特徴です。「日本らしさを追求」と自ら述べるように、CAさんが客室を見回って必要があればすぐ声をかけてくれます。丁寧さは日本航空会社ならではでしょう。一方でシンガポール航空のサービスは、洗練されていながらもすっきりとした印象を受けることがあります。たとえば、ある女性客がSQ便でアメニティのハンドクリームの香りを褒めた際、乗務員は「お気に入りでしたら市販の大きいサイズもおすすめですよ」と、軽やかに返したというエピソードがあります。日本の航空会社なら「ありがとうございます。お気に召していただけて嬉しいです」と丁寧に受け答えする場面ですが、SQではユーモアを交えた、よりフレンドリーなやり取りになるのです。このように、JALやANAのきめ細やかな気配りと、シンガポール航空のユーモアでフランクな距離感は、それぞれに魅力があります。丁寧なもてなしに安心を感じる方もいれば、軽快な会話で気楽に過ごせる方が合うという人もいるでしょう。このようにコミュニケーションの“余白”に違いがあり、日本人にはANAの丁寧さが心地良い、という人もいれば、SQのドライすぎないフレンドリーさが程よい、という人もいます。にあるように、日系の細やかすぎるほどの気配りに慣れていると物足りなく感じることもあるかもしれませんが、一方で「必要な時だけサービスして放っておいて欲しい」タイプにはSQの距離感は気楽でしょう。

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アメニティやその他サービス

ビジネスクラス以上では各社ともアメニティキット(歯ブラシ・アイマスク・化粧品など入ったポーチ)を提供します。エコノミーでもJALは長距離便でスリッパを配布したり、リクエストすれば歯ブラシがもらえます。ANAも簡易スリッパや耳栓など希望者に配っています。SQはエコノミーにスリッパはなく、要望すれば歯ブラシ程度ですが、その代わり毛布や枕の質が良いとの評判です(肌触りがいいなど)。この辺りは細かな違いですが、総じて清潔さや備品の質はどの社も高水準です。筆者の個人的体験では、JALはCAさんにお願いすれば子供向けアメニティ(折り紙セットやおもちゃ)を持ってきてくれたり、ANAは妊婦や高齢者に対してクッションを多めに渡すなど配慮を見せたりしました。SQも誕生日フライトの乗客にカードと小ギフトを贈るなど温かなサービスがあります。いずれもホスピタリティ精神は十分で、「サービス面で大差なし」と前述の比較記事でも評されています。

以上、機内サービス全般を見てきました。まとめると、エンタメ面では日本語コンテンツ充実のJAL/ANA、Wi-Fiでは全クラス無料のSQ、機内食は各社特色あり、サービススタイルは和のおもてなし vs. 優雅でスマートなホスピタリティといった違いがありました。ですが根本はどこもフルサービスキャリアですので、LCCのように「水一杯も有料」なんてことはありません。「あれもこれも追加料金」という心配がないのは3社共通です。その上で、自分が重視するポイント(例えば日本語が通じる安心感なのか、ネット環境なのか、機内食なのか)によってベストな航空会社は変わってくるでしょう。

機内サービスの比較表(JAL・ANA・シンガポール航空)

項目JAL
(日本航空)
ANA
(全日本空輸)
シンガポール航空(SQ)
エンタメシステム「MAGIC」搭載。映画・ドラマ・音楽・電子書籍など約500以上のコンテンツ。日本語作品が多く日本人向けに強い。「ANA SKY CHANNEL」。約400以上の映画・番組・音楽。日本語字幕や吹替も豊富で安心感あり。「KrisWorld」。1000以上の映画・音楽・ゲームなど圧倒的なラインナップ。システムの直感的な操作性も評価が高い。
モニターサイズエコノミー:約9〜12インチ
プレエコ:約12〜13インチ
ビジネス:約17インチ以上
エコノミー:約9〜12インチ
プレエコ:約12インチ
ビジネス:約18インチ以上(THE Roomは24インチ)
エコノミー:約11〜13インチ
プレエコ:約13.3インチ
ビジネス:約18インチ以上(A380最新型は18〜20インチ)
Wi-Fi環境多くの国際線で有料Wi-Fi提供。JALカード会員割引あり。テキストチャットは比較的安価プランあり。殆どの国際線で有料Wi-Fi提供。ANAマイレージクラブ会員は無料プランあり。速度は平均的。機材によって無料Wi-Fi提供あり(マイレージ会員はデータ容量制限つき無料)。高速で安定性高いと評判。
機内食(エコノミー)和食・洋食から選べる。日本発便は有名シェフ監修メニューあり。味付けは日本人向けで食べやすい。和食・洋食を選択可能。日本酒・ワインも厳選。和食のクオリティは高評価。世界的に有名な「機内食ランキング常連」。アジア風から洋食まで幅広く、盛り付けもレストランレベル。
機内食(プレミアムエコノミー)エコノミーとは別メニュー。ワインやデザートが充実。基本はエコノミー同等だが、飲み物や軽食が若干アップグレード。「Book the Cook」で事前に特別メニュー予約可(ロブスターなど)。この点はJAL・ANAにない強み。
機内食(ビジネス)日本料理・洋食のフルコース。名門料亭やシェフとコラボ。懐石風お膳が名物。国際線で「THE CONNOISSEURS」プログラム。ミシュランシェフ監修の料理。高級ワイン・日本酒も充実。「Book the Cook」で50種類以上から予約可能。ロブスター、和牛など贅沢な選択肢。世界最高評価常連。
アメニティビジネス:日本ブランドを活かしたデザイン。
プレエコ:簡易アメニティあり。
ビジネス:ブルガリとのコラボポーチ。
プレエコ:スリッパや簡易セット。
ビジネス:英ブランド「ペンハリガン」のアメニティ。
プレエコにもノイズキャンセルヘッドホン・簡易キットあり。

ポイント解説

  • エンタメ:日本語重視ならJAL・ANA、圧倒的なコンテンツ数を求めるならSQ。
  • Wi-Fi:SQは無料枠あり、JAL・ANAは有料中心。長時間の接続を考えるとSIAに軍配。
  • 機内食:JALは和食の繊細さ、ANAは国際感覚の融合、SQは「Book the Cook」で圧倒的選択肢。
  • アメニティ:ANAはブランド力で高級感、JALは和のこだわり、SQは世界的ブランドを導入。

5. 主要ハブ空港と乗り継ぎ環境の違い

次に各社のハブ空港について比較します。JALとANAは日本の「東京・羽田(HND)空港」「成田(NRT)空港」が二大ハブです。一方、シンガポール航空のハブは「シンガポール・チャンギ(SIN)空港」です。それぞれ空港の規模や利便性、乗り継ぎ環境に特色がありますので見ていきましょう。

羽田・成田 vs チャンギ – 立地と規模

羽田空港は都心に近く国内線の拠点ですが、近年は国際線も増えJAL/ANAの主要ハブとなっています。都心から電車やモノレールで30分圏内というアクセスの良さが魅力で、乗り継ぎ時間も短縮できます。ターミナル間の移動もモノレール等で容易です。ショッピングやレストランも充実し、清潔で快適との評価が高いです。

成田空港は東京中心部からはやや距離があるものの、JAL・ANA含め多数の国際線が発着する大空港です。ターミナル1にスターアライアンス(ANA他)、ターミナル2にワンワールド(JAL他)が集約され、アライアンス乗継ぎは便利な配置。成田は国際線専用空港として設計されているため、入国審査場や手荷物検査場が広く効率的ですが、その広さゆえゲート間移動に時間がかかることもあります。もっとも、JAL・ANAとも成田での国内線は少なく(ほぼ国際線のみ)、国内線乗継ぎは羽田利用になる場合が多いです。

チャンギ空港(シンガポール)は、アジアを代表するハブ空港であり規模・設備とも世界トップクラスです。シンガポール中心地から車で約30分の距離に位置し、地下鉄MRTやバスでもアクセス可能です。4つのターミナルに約100社が就航し、50か国170地域と結ぶ巨大ネットワークを誇ります。2024年の年間利用者は約6,770万人、週7,200便以上が発着し「平均80秒に1便が離陸する」ペースだそうです。空港ランキング常連の“世界最高の空港”で、Skytrax社のワールドベスト空港賞を史上最多13回も受賞しています。

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乗り継ぎやすさと導線

乗り継ぎのしやすさでは、チャンギ空港が群を抜いて優秀です。広大な空港ながら乗継所要時間は平均45分~2時間と非常に短く、1時間未満で接続できるのは空港の導線設計が優れているからです。同一ターミナル内なら30分程度で乗り継ぎ可能、ターミナル間移動があっても45分~あれば十分というデータがあります。実際、シンガポール航空同士の乗継ぎなら最短50分でも間に合う設定があるほどです(最低乗継時間=MCTは50分)。もちろん遅延リスクを考えればもう少し余裕あるスケジュールがおすすめですが、他の大ハブ(例:米国等で2~3時間必要)と比べて断然スムーズなのは特筆すべき点です。

成田・羽田はどうかというと、国内⇔国際の乗継ぎでは両空港間の移動もあり最低でも3~4時間は見た方が良いです。ただ国際線⇔国際線の乗継であれば、例えば成田内でスターアライアンス便乗継ぎ(ANAから他国のスター便)なら1時間半~2時間ほどで接続可能です。羽田でも国際線同士なら1時間程度でもいけるでしょう。しかし、日本の空港は保安検査や入出国手続きに時間がかかりがちで、混雑期は行列になることも。チャンギはその点システム効率が高く、イミグレーションやセキュリティが素早い印象です。「大きな空港なのに1時間切る乗り継ぎができるなんて、導線が良い証拠」とも評価されています。

また荷物に関しても、チャンギではスルーチェックイン(日本で言う「手荷物預け直し不要」)が一般化しており、一度預けた荷物は最終目的地まで自動で運ばれます。JAL・ANA利用で第三国へ行く場合も、自社同士や提携便でスルーチェックが適用されることが多いですが、場合によっては一旦受け取って再チェックインが必要なケースもあります。チャンギ経由SQならその点もスムーズで、荷物検査と次の搭乗口移動だけでOKです。

まとめると乗継ぎ易さは:シンガポール・チャンギ > 羽田 > 成田でしょうか。羽田は国内線との乗継ぎでは最高の便利さですが、国際線同士だと成田と大差ありません。一方チャンギは国際線ハブとして突出した利便性があります。「初めての海外旅行で乗継は不安…」という方でも、チャンギなら標識も多言語で分かりやすく、乗継カウンターも充実しているので安心です。実際、筆者の経験でもチャンギで迷子になったことはなく、乗継案内板に従えばスムーズにゲートに着けました。はじめて経由便を使うならチャンギはベストと断言できます。

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空港施設・ラウンジ・サービス

空港自体の快適性も見逃せません。成田・羽田にもラウンジやレストランはありますが、その充実度ではチャンギ空港が圧倒的です。チャンギには全ターミナル合わせ約310のショップと160の飲食店があり、「空港にいることを忘れるほど」の体験型施設が揃います。例えば:

  • Jewel(ジュエル): 空港直結の巨大複合施設。世界最大級の室内滝「レインボール」が降り注ぎ、屋内森林公園、ショップ、シネマ、ホテルまで備えた観光スポット。乗継時間が長ければJewelで遊ぶのも一興です(※Jewelは制限エリア外なので一旦入国が必要ですが、見る価値あり)。
  • 無料映画館・プール・庭園: チャンギの制限エリア内には無料の映画シアターや、蝶が飛ぶ屋内庭園「バタフライガーデン」、サボテン・ひまわりガーデン、さらには有料ですがトランジットホテル屋上にプール&バーまであります。乗り継ぎ待ち時間に泳げる空港なんて他に聞いたことがありません。
  • 仮眠ラウンジ・シャワー施設: 無料の「スヌーズエリア」でリクライニングチェアに横になれますし、各所に有料ラウンジやミニホテルがありシャワーや仮眠室を利用できます。
  • Wi-Fi・充電: 空港全域で無料Wi-Fiが高速利用でき、至る所に充電用コンセントやUSBポートがあります。IT先進国シンガポールの玄関だけあってストレスフリーです。

羽田・成田も最近は随分頑張っており、羽田国際線ターミナルには江戸小路を模したショッピングエリアやプラネタリウムバー(星空を眺めるバー)などが登場し話題です。成田も伝統工芸体験コーナーなど設けています。しかし総合的な娯楽度では、やはりチャンギに軍配が上がります。「空港内で暇を持て余すことがない」のがチャンギで、「早めに着いてもお店が少なくて退屈なのが成田」というイメージの差は否めません。

ラウンジに関しては、JALは成田・羽田に自前の「サクララウンジ」や「ファーストクラスラウンジ」を持ち、ANAも「ANA LOUNGE」「ANA SUITE LOUNGE」を運営しています。これらはビジネスクラス以上や上級会員が利用でき、設備も食事も上質です。シンガポール航空はチャンギに「SilverKrisラウンジ(ビジネス/ファースト別)」を擁し、こちらも豪華な内装と地元料理を含むビュッフェが評判です。またチャンギには各アライアンス系の共同ラウンジや民間ラウンジが多種あり、長時間の待ちでも有料利用で快適に過ごせます。

乗り継ぎサービスのユニークな取り組み

最後に、チャンギ空港特有の乗継客向けサービスを紹介します。中でも有名なのが「無料シンガポール市内観光ツアー」です。乗り継ぎ時間が5.5時間以上ある旅客を対象に、空港主催で約2時間半のシンガポール観光に連れ出してくれるツアーがあります。マーライオン公園やマリーナベイサンズ、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイといった名所を効率よく巡るコースなど3種類用意されており、短時間でもシンガポールの魅力を味わえます。費用は一切無料で、入国せずツアーバスで回るためビザ等も不要(入国扱いになりますが特別に許可)。開催時間は日中のみですが、長い乗継ぎを有効活用できる素晴らしいサービスです。実施日は限られますが事前予約も可能で、当日先着でも参加できます。「乗継で時間があるなら是非街を見て行って!」というシンガポールのおもてなし精神ですね。

もし深夜便乗継ぎなどで観光ツアー時間に合わない場合も、チャンギにはトランジットホテル(有料)が2軒あり6時間から客室を利用できます。ターミナル1の「エアロテル・シンガポール」やターミナル3の「アンバサダー・トランジットホテル」では、プールやジム、朝食ビュッフェまで備え、快適に体を休められます。6時間以降は1時間単位で延長できる柔軟さで、「夜をまたぐ乗継ぎは空港内ホテルでしっかり睡眠」という選択肢もOKです。

成田・羽田には空港内ホテルは限られますが、近隣にカプセルホテルや簡易宿泊施設が整備されてきました。ただ有料でそこまでして休む乗継ぎは少なく、多くは一旦都心に出たりラウンジで仮眠したりでしょう。やはり無料市内ツアーまで用意するチャンギの手厚さは特筆に値します。

6. シンガポール航空+チャンギ空港経由の魅力

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ここまで比較してきた要素を踏まえ、本章では「シンガポール航空でチャンギ空港経由」という選択肢に焦点を当てます。JALやANAの直行便がある路線でも、あえて経由便にするメリットは何なのか?具体的な例やたとえ話を交え、その魅力を紐解いてみましょう。

6.1 チャンギ空港での乗り継ぎ容易さと快適性

前章でも触れた通り、チャンギ空港は世界一乗り継ぎが楽しい空港です。例えばヨーロッパ旅行の途中でシンガポールに立ち寄る場合、乗り継ぎ時間が3~4時間あっても「あっという間」に過ごせます。プールに入って旅の疲れを癒し、屋内庭園で熱帯の花々を鑑賞し、シャワーでさっぱりしてから次のフライトへ――なんて贅沢なトランジットが現実にできます。無料Wi-Fiで日本にいる家族と連絡を取ったり、免税店でショッピングしたりももちろん自由自在です。これが例えば某米国の大空港だったら…広いだけで店も少なく、Wi-Fiも有料、長椅子で居眠りするしかない、なんてこともあります。チャンギ空港は「空港」ではなく「巨大な娯楽施設」とでも思ってください。

さらに乗り継ぎ時間が半日以上あるケースでは、前述の無料市内観光ツアーに参加するのがおすすめです。例えばこんなストーリーはいかがでしょう。あなたはシンガポール航空で東京からパリへ向かう途中、チャンギで7時間の待ち合わせ。午前中に到着したので、身軽な格好で2時間半の市内ツアーバスに乗り込みます。マーライオンと記念撮影し、マリーナベイサンズのそばで降りてきらびやかな湾岸を眺め、植民地時代の風情残る街並みも駆け足で体験。空港に戻ったら名物チキンライスで軽く腹ごしらえし、シルバークリスラウンジでシャワーを浴びてリフレッシュ。ちょっと仮眠しているうちに、次のパリ行き搭乗時刻です…。まるで「1回の旅行でシンガポールとヨーロッパ両方を味わえる」ようなお得感があります。トランジット(乗継ぎ)をただの移動時間で終わらせず、「プチ観光」に変えてしまう発想はチャンギならではでしょう。これは直行便利用では絶対に得られない体験です。

また、乗り継ぎ時間の目安としてもチャンギ経由は効率的です。東京から欧州へ直行便だと12~14時間ですが、シンガポール経由でも例えば東京→シンガポール7時間+乗継2時間+シンガポール→ロンドン13時間で計22時間ほど。余計な移動は5~6時間程度の増加です。しかしその間にシンガポールでリラックスできるなら、14時間ぶっ通しで飛行機に閉じ込められるより快適とも言えます。機内で寝られない人も、一度地上に降りてリセットできる分、後半フライトが楽になります。「トランジット = 余計な時間」ではなく、「長旅の中継休憩」とポジティブに捉えれば、むしろ疲労感は軽減されるでしょう。

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6.2 経由便だから安い!直行便よりお得になる具体例

お財布面のメリットも大きなポイントです。先に運賃比較で述べた通り、経由便は直行便に比べ運賃が大きく安くなる傾向があります。特にシンガポール航空は価格競争力があり、直行便がある都市への旅でも、わざわざ経由する方が安くなるケースが実際にあります。

いくつか具体例を挙げましょう。

  • 東京~ロンドン: JALやANA、英国航空が直行便を飛ばす路線ですが、繁忙期には直行便は往復30~35万円くらいになります。これをSQ経由にすると、シンガポール往復+シンガポール~ロンドン往復の組み合わせで、筆者が調べたある日程では約20万円台前半で購入できました。所要時間は直行約14時間に対し経由22時間ほど(+8時間)ですが、-10万円以上の節約です。浮いた10万円で現地で豪華ディナーやホテルをワンランク上にする方がいい、と考える人も多いでしょう。
  • 東京~パリ: こちらも直行(ANA/JAL/AF)が30万円前後に対し、シンガポール航空経由は20万円弱~でした(前述の例)。しかもSQ利用なら途中で東南アジア立ち寄り観光もできてお得です。「ヨーロッパ+アジアつまみ食い旅行」なんて楽しみ方も可能です。
  • 東京~ホノルル(ハワイ): 実はシンガポール航空はハワイ路線を持っていません(かつてLCCスクートが関空~ホノルルを飛ばしていましたが現在運休)。しかし例えば福岡発ハワイ行きを考えると、JAL/ANA直行は福岡→(国内乗継)→ホノルルとなり高価です。一方、福岡からSQでシンガポールへ飛び、ユナイテッド航空との提携便でホノルルへ向かうルートを組むと、意外と安くなることがあります。時間はかかりますが、「福岡-成田-ホノルル」より「福岡-シンガポール-ホノルル」の方が総額で安い例もありました(仮に16万円vs13万円など)。あまり知られていませんが、経由地を工夫するとハワイ旅行も割安にできる場合があるのです。
  • 大阪~サンフランシスコ(米西海岸): こちらはユナイテッド航空が関空から直行便を飛ばしていましたが、それ以外は直行なし。JAL/ANA利用だと羽田/成田で乗り継ぎ必要です。シンガポール航空は関空→シンガポール→サンフランシスコ(SQ2便はシンガポール→香港→サンフランシスコという経路もあります)というルートが可能です。所要はかなり長くなりますが、日本国内での乗継をするくらいならシンガポール経由でも同じと割り切れば、料金次第で選択肢になります。例えばANAの羽田経由だと25万円、SQ香港経由なら18万円だったケースもあります。距離は倍でも価格は2割安いという逆転現象ですね。

以上のように、「直行便が便利なのは百も承知、でも経由すればこんなに安い」という実例は多数あります。のように「中国経由なら往復○万円台」という極端な例もありますし、カタール航空やエミレーツ航空など中東経由も同様に直行より安いです。中でもシンガポール航空はサービス品質が高い上で安い(一部路線)ので、「多少遠回りでもSQで行こう」というリピーターが多いわけです。にある比較では、前述のデリー発券ビジネス旅程でANAよりSQの方が運賃安くプレミアムポイント(マイル修行ポイント)が多く貯まるという意外な結果も出ています。「サービスはどこも満足できるから、あとは価格で選ぶ」という場合、シンガポール航空経由は極めて有力なお得ルートになるのです。

もちろん、経由便には時間以外のデメリットもあります。例えば乗継回数が増える分、フライト遅延やロストバゲージ(荷物遅延)のリスクが高まります。また長距離を2回に分けるので、1回のフライト時間は短縮されますがトータルの疲労は人によって感じ方が違うでしょう。さらにシンガポール航空経由の場合、日本-シンガポール間(約7時間)+ シンガポール-目的地間(欧米まで12時間前後)の組み合わせなので、連続する2回の夜を機内で過ごすこともあります。たとえば東京を深夜出てシンガポール朝着、半日過ごして欧州行きに乗り夜到着、といった形です。体内時計の調整は直行より難しくなるケースもあり、その点は留意が必要です。「安い方がいいけど、体への負担も無視できない…」という場合、自身の旅程に合わせて判断してください。逆に、「途中1泊分くらい睡眠を取れるからちょうどいい」というツワモノ旅行者もいます。経由便を選ぶ際は、費用と時間と自身のコンディションを秤にかけて決めると良いでしょう。

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6.3 シンガポール航空が提供する全クラスでの利便性・サービス

最後に改めて、シンガポール航空(SQ)の全クラスにおける利便性とお得さを整理します。ここまで述べてきた内容と重複する点もありますが、「SQ+チャンギ経由」のトータルな魅力を箇条書き的にまとめてみます。

  • エコノミーでも快適&サービス充実: SQエコノミーは座席こそ標準的ですが、機内食やエンタメの質が高く、飲み物もアルコール含め無料。にもあるように国際的にグルメな食事と先端のIFEを提供し、乗客を飽きさせません。また2023年以降はエコノミーでもKrisFlyer会員なら無制限Wi-Fi無料という強みがあり、長時間フライトでもネットサーフィンやSNSを楽しめます。さらにSIAはエコノミー利用者にもアメニティ(歯ブラシ等)を気軽に提供し、毛布や枕の質も良いので、他社エコノミーより疲れにくいとの声もあります。
  • プレミアムエコノミーのお得感: SQのプレエコは前述のとおりサービス面が充実しています。特に「Book the Cook」で事前に好きな料理をオーダーできるのは、他社にはないユニークなメリットです。値段はエコノミーの約1.5~2倍ですが、その価値は十分あるでしょう。また席数が限られているため、搭乗率が高い路線でもプレエコなら周囲が比較的静かで快適、という利点もあります。SQプレエコ利用者からは「ビジネスクラスほど高くなく、それでいてサービスはかなり近い」という満足の声をよく耳にします。逆にJAL/ANAのプレエコは快適でもサービス内容はエコノミーに近いので、その点でSQは“プチ贅沢派”にうれしい存在です。
  • ビジネスクラスは世界最高峰: これは言わずもがなですが、SQビジネスはいつ乗っても期待を裏切りません。広大なシートでプライバシーもあり、クルーの接客も洗練されています。JAL/ANAも素晴らしいものの、例えば夜行便のスリッパやパジャマ提供はSQはビジネスでも用意(JAL/ANAはファーストのみパジャマ)という具合に、細部でSQが上回る点もあります。アメニティは英国Penhaligon’s社コラボの香りグッズで癒され、ラウンジではシャンパン片手にフライトを待つ…と、まさに空の旅を優雅に演出してくれます。料金はもちろん高額ですが、欧州線ビジネスの相場が往復60~80万円のところ、SQ経由便なら50万円台もありえます。単なる移動手段でなく旅の大きな楽しみとして機内を過ごしたいなら、価格競争力のあるSQビジネスは検討の価値大です。
  • マイレージや上級会員特典: シンガポール航空は自社のクリスフライヤーマイレージプログラムを持ち、スターアライアンス加盟なので他社のマイルを貯めることも可能です。例えばANAマイラーならSQ搭乗分をANAマイル加算できます。逆にクリスフライヤーに貯めれば、ANA便や他スター社で使えます。SQの上級会員PPSクラブはハードルが高いですが、上級になればチャンギでの特別なサービスやボーナスマイルも期待できます。経由便で飛行距離が長い分マイルも多く貯まるのは隠れた利点でしょう。「遠回りしたらその分マイルが溜まって無料旅行に行けた」なんてことも起こりえます(マイル修行僧には有名な話ですね)。
  • 安全性と信頼感: 最後に付け加えると、シンガポール航空は安全性・定時運航率でも高い評価を得ています。最新の調査(AirlineRatings.com 2024年版安全ランキング)でも世界トップ20に名を連ね、JAL/ANAとともに「安全な航空会社」として選ばれました。万一のトラブル時の補償やサポートも手厚く、英語対応が基本ですが日本支社もあるので安心です。ハブのチャンギ空港も天候による欠航遅延が少ない(台風や大雪がない地域)ため、スケジュール信頼性も高めです。せっかく安くても遅延ばかりでは意味がありませんが、SQはその点でも信頼できるブランドと言えます。

こうした総合力から、シンガポール航空はスカイトラックス航空会社総合ランキングでも常に上位で、2022年は堂々2位を獲得しました(参考: 1位カタール航空、4位ANA、6位JAL)。つまり世界中の旅行者が選ぶ「ベストなエアライン」の一つなのです。日本人にとっては言語のハンディなどもありますが、それを差し引いてもSQ+チャンギ経由は魅力が満載と言えるでしょう。

6.4 シンガポール航空+チャンギ経由で行きやすい人気都市(国別・8カ国)

乗り継ぎ1回で行きやすく、観光・ビジネス・リゾートの“目的別”に使い勝手の良い代表都市を8カ国から厳選。

都市(例)ここが魅力 / 使いどころ
アメリカニューヨーク(JFK/EWR)、サンフランシスコ、ロサンゼルス、シアトル北米の主要ハブへダイレクトに届く選択肢が多く、価格面で直行便より優位なケースも。出張・観光どちらにも強い。
イギリスロンドン(LHR)欧州への定番玄関口。チャンギ経由なら時間配分が柔軟で、運賃の“山”を避けやすい。
フランスパリ(CDG)ハイシーズンの直行が高いときに“経由で賢く”が効く路線。復路は夜発で旅程が組みやすい。
ドイツフランクフルト、ミュンヘン欧州内の乗り継ぎ展開も良好。ビジネス渡航の安定感と価格のバランスが取りやすい。
オーストラリアシドニー、メルボルン、パース南半球の人気都市へ時間帯良好。復路もゆったり組め、チャンギで休憩を挟めるのが体力的に◎。
タイバンコク近場の王道。便数・時間帯が豊富で、“羽田・成田の混雑時間帯回避”という実務メリットも。
インドデリー、ムンバイ、チェンナイ、ベンガルール直行の運賃が跳ね上がる時期は、チャンギ経由で価格が安定。日程調整の自由度が高い。
モルディブマレ(MLE)リゾート需要に最適。チャンギで“身支度・休憩→乗り継ぎ”の動線が楽で、家族旅行にも相性が良い。

使いこなしのコツ

  • 価格面:直行が高い期間は、SQ+SIN経由で下がることが多い路線を狙う(欧州・北米・モルディブは典型)。
  • 体力面:長距離を一気に飛ばず、チャンギで“意図的に休む”と到着後のパフォーマンスが上がる。
  • 旅程設計:行きは経由で節約+シンガポール短時間観光、帰りは直行で時短…というハイブリッド

7. まとめ

最後に、本記事のポイントをまとめます。

JAL vs ANA vs シンガポール航空という構図で比較してきましたが、それぞれに強みと個性があり、甲乙つけがたいのが正直なところです。日本発の国際線で多くの方が迷われるポイントを振り返ると:

  • 運賃: JALとANAは年間通してほぼ同水準。シンガポール航空は路線次第で安く、特に経由便を活用すると直行便より大幅に節約できるケース多数。費用重視なら経由便利用を検討する価値大。
  • 路線網: 北米行きが多いならJAL、アジア各地に行くならANA、そして世界各国くまなく飛びたいならシンガポール航空のネットワークが頼もしい。特に日本から直行便がないリゾートや中東・アフリカ方面はSQ経由が現実的な選択肢。
  • 座席・機材: エコノミーは各社標準的だが、JALは一部ゆとり配置あり、SQはモニター大きくWi-Fi無料など特徴あり。プレエコ・ビジネスはいずれも快適だが、SQのサービス充実ぶりは際立つ(予約メニューやWi-Fiなど)。一方日本の2社は和の気配りや日本語対応で安心感。
  • 機内サービス: JAL/ANAは日本人乗客への親和性(日本語エンタメ・和食・CAの丁寧さ)が高い。のような心遣いはさすが。一方SQは国際水準の上質サービスで、優雅だがドライすぎない絶妙な距離感。Wi-Fi無料など先進的取り組みも光る。
  • ハブ空港: 羽田は国内旅行者には最強、成田も悪くないが、チャンギ空港経由の快適さと楽しさは格別。長距離移動も“旅の一部”として満喫したいならチャンギ経由が一押し。無料市内ツアー等ユニークなおもてなしも魅力。

総合すると、どの航空会社も一長一短で、「絶対にここが一番!」とは言い切れません。ただ、この記事を通じてシンガポール航空+チャンギ空港という選択肢の魅力がお分かりいただけたかと思います。直行便だけでなく経由便にもこんなメリットがあるんだ、と知っていただけたなら幸いです。

例えば、「新婚旅行でヨーロッパに行きたいけど予算が…」という場合、行きはシンガポール経由で節約して途中チャンギでデート気分、市内観光もプラス。帰りは直行便で楽々帰国、なんてハイブリッドな旅程も面白いでしょう。逆に「出張で急ぐから往復直行」という時でも、次の家族旅行はあえて経由でシンガポールも寄ってみよう、とアイデアが広がるかもしれません。

航空会社選びは費用・時間・快適性のバランスです。JALとANAは伝統と安心感、シンガポール航空は冒険とお得感、と言い換えることもできます。それぞれの視点からの特徴を理解し、自分の旅スタイルに合ったチョイスをしていただければと思います。もし次回の旅行で「シンガポール航空+チャンギ経由にしてみようかな?」と感じたなら、ぜひチャレンジしてみてください。世界中の旅人を魅了するその快適さに、きっと驚くことでしょう。

参考文献・情報源

本記事は各航空会社および空港の公式情報に加え、旅行メディアの公開データを参照し作成しています。
日本航空公式サイト、全日空公式サイト、シンガポール航空公式サイト、Skytrax社ランキングデータ、チャンギ空港公式サイト、主要旅行メディア、各社サービスガイド等より(2023〜2025年時点の公開情報を参照)