ベトナム旅行の行き先を決めるとき、多くの人が「ハノイ?それともホーチミン?」という選択肢に立たされます。北部の古都ハノイは静かで歴史にあふれ、南部のホーチミンは熱気と都会的な魅力が詰まっています。飛行機の直行便、宿泊ホテルの見え方、グルメの多彩さや物価の違いまで、実は旅の満足度を左右する要素がたくさんあります。本記事では、航空券(フルキャリア&LCC)、観光地、グルメ、ホテル、移動手段、治安、物価などをハノイとホーチミンで徹底比較。2泊3日から長期滞在まで、自分に合った旅行スタイルに気づくためのガイドとしてご活用ください。

  1. はじめに─北のハノイ、南のホーチミンの選び方
    1.1 選び方の基準
    1.2 都市の個性(歴史と近代性/気候/旅行のリズム)
  2. 航空券・アクセス比較
    2.1 日本発着の直行便・乗継便の路線と所要時間
    2.2 ハイシーズン/ローシーズンの運賃傾向(諸税別)
    2.3 空港から市内へのアクセス(所要時間・費用・快適度)
  3. 観光スポットと体験価値
    3.1 ハノイの見どころ(旧市街・世界遺産・日帰り郊外)
    3.2 ホーチミン市の見どころ(統一会堂・戦争証跡・メコン)
    3.3 テーマ別おすすめ(歴史散策/写真スポット/自然・クルーズ)
    3.4 ナイトライフ・カフェ文化・マーケット比較
  4. グルメ比較─“食都”としての満足度
    4.1 代表料理(フォー/ブンチャー/バインミー/フーティウ など)
    4.2 屋台・大衆食堂・カフェの使い分け
    4.3 価格帯と注文のコツ、チップ・支払い事情
    4.4 ご当地コーヒー&スイーツの違い
  5. ホテル・宿選び
    5.1 主要エリアと滞在拠点(立地メリット/デメリット)
    5.2 グレード別の相場感(ゲストハウス/ミッドレンジ/高級)
    5.3 設備・サービス比較(Wi-Fi/朝食/スパ/プール)
    5.4 予約タイミングとキャンセル規定の目安
  6. 市内移動と日帰りトリップ
    6.1 タクシー/配車アプリ/バス/徒歩の実用度
    6.2 交通渋滞・移動時間の体感差
    6.3 郊外・近郊の一日モデル(ハロン湾/ニンビン/メコン・デルタ)
  7. 治安・安全・トラブル回避
    7.1 置き引き・スリ対策、ぼったくり事例と回避策
    7.2 夜間の歩き方とエリア選び
    7.3 健康管理(暑熱・水・衛生・保険)
  8. 物価・旅行費用
    8.1 食費・交通費・観光費のコストレンジ
    8.2 為替と予算設計(現金・カード・両替)
    8.3 2泊3日/3泊4日モデルの総費用シミュレーション
  9. 気候・ベストシーズン
    9.1 北部(ハノイ)の四季と服装
    9.2 南部(ホーチミン)の乾季・雨季と服装
    9.3 祝祭日・連休の混雑と価格上昇の傾向
  10. 写真・動画スポットと撮影のコツ
    10.1 定番・穴場ロケーション
    10.2 昼夜・雨季乾季での撮り分け
    10.3 ドローン・撮影マナーの留意点
  11. テーマ別モデルルート
    11.1 歴史×カフェ巡り(ハノイ2泊3日)
    11.2 グルメ×市場×ナイト(ホーチミン2泊3日)
    11.3 世界遺産・クルーズ拡張(3泊4日アレンジ)
  12. 旅スタイル別「どっち向き?」診断
    12.1 街歩き・歴史・クラフトを楽しみたい人
    12.2 カフェ文化・ナイトライフ・都市速度を味わいたい人
    12.3 コスパ重視/短期弾丸/長期ワーケーションの観点
  13. 目的別・総合比較表
    13.1 航空券/観光密度/グルメ多様性/ホテル相場/移動容易度/治安/物価の評価一覧
    13.2 シーン別最適解(週末/連休/長期休暇)
  14. よくある質問(FAQ)
    14.1 初回訪問はどちらが満足度が高いか
    14.2 女性一人旅や夜間外出の安心度
    14.3 英語・現地言語の通じやすさとコミュニケーション
  15. まとめ─あなたに最適なハノイとホーチミンの選び方

1. はじめに─北のハノイ、南のホーチミンをどう選ぶか

ベトナムを代表する二大都市、北部のハノイと南部のホーチミン市(旧サイゴン)。同じ国でも地理的に約1,600km離れており(青森~福岡ほどの距離)、気候や街の雰囲気、旅のスタイルも大きく異なります。初めてのベトナム旅行で「ハノイとホーチミン、どっちに行くべき?」と迷ったら、本記事を参考にしてください。以下では、航空券・アクセスから観光スポット、グルメ、ホテル、市内移動、治安、物価まで両都市を徹底比較します。まずは両都市を選ぶ際の基本ポイントを押さえましょう。

1.1 選ぶ基準

一般的に、歴史や伝統文化を感じる落ち着いた旅をしたい方には首都ハノイが、近代的で活気ある都会体験やグルメ・ナイトライフを重視する方にはホーチミン市が向いています。例えば世界遺産や古い町並みに惹かれるならハノイ、南国らしい熱気とショッピングを満喫したいならホーチミン市、といった具合です。また旅行経験値によっても選択肢が変わります。ベトナム初心者にはホーチミン市が英語も通じやすくアクセスも簡単なため安心との声が多く、一方通な旅や東南アジアの情緒を満喫したいならハノイが根強い人気です。

1.2 都市の個性(歴史性と近代性/気候/旅のリズム)

ハノイは1000年以上の歴史を持つ古都で、市内中心部には歴史的建造物やフランス統治時代のコロニアル建築が残り、ノスタルジックな雰囲気に包まれています。街歩きはゆったりしており、伝統芸能や古い寺院巡りを通して悠久の歴史に浸れるでしょう。一方のホーチミン市はベトナム最大の経済都市で、高層ビルが林立しバイクと屋台が行き交うエネルギッシュな都市です。バンコクに似た賑やかさで、夜遅くまで街に活気が溢れ、旅行者の行動ペースも自然と速くなる傾向があります。

気候面では北部ハノイは四季があり、夏(5~10月)は蒸し暑く雨が多い一方、冬(11~4月)は10℃前後まで冷え込みます。11月~4月の乾季がベストシーズンですが、冬は厚手の上着が必要なほど冷える日もあります。南部ホーチミンは熱帯性気候で年間を通して高温多湿(平均気温25℃以上)です。季節は雨季(5~10月)と乾季(11~4月)に分かれますが、雨季でもスコールが一時的に降る程度で、一年中「常夏」の南国ムードを楽しめます。服装は通年半袖主体でOKですが、冷房対策に薄手の上着を持参すると良いでしょう。

両都市の旅のリズムも異なります。ハノイは早朝から活動する市民が多く、夜は旧市街のバー以外比較的早めに店じまいする傾向があります(近年は延びていますが、深夜0時頃には落ち着くことが多いです)。ホーチミン市は夜更けまでカフェやナイトスポットが営業し、旅行者もナイトライフを含めて一日を長く使う人が多いです。そのぶん街歩きの喧騒もハノイよりホーチミンの方が遅くまで続きます。以上を踏まえ、各項目ごとに詳細に比較していきましょう。

2. 航空券・アクセス比較

日本からハノイ・ホーチミン市へのアクセスは、ともに直行便が就航しており所要時間は約6時間前後です。ここでは両都市への航空ルートと所要時間、航空券価格のシーズナリティ、空港から市内への移動手段について比較します。

2.1 日本発着の直行便・乗継便の路線と所要時間

現在、日本からベトナムへの定期直行便はハノイとホーチミン市のみ運航しており、主要都市の空港から発着しています。具体的には、東京(羽田・成田)・大阪(関西)からは両都市へ毎日直行便があり、名古屋(中部)・福岡・広島からはハノイ行きの直行便が運航しています(ホーチミン行きは2025年現在、中部・福岡・広島には直行便なし。航空会社はフルサービスキャリアの日本航空(JAL)・全日空(ANA)・ベトナム航空、およびLCCのベトジェットエア(VietJet)が中心です。東京~ハノイ/ホーチミン間のフライトは毎日複数便運航され、乗継便を利用すれば日本各地や他のアジア経由でもアクセス可能です。

直行便の飛行時間は行きと帰りで若干異なります。成田~ハノイは往路約5時間30分~6時間45分、復路約4時間35分~5時間35分。成田~ホーチミンは往路約5時間55分~7時間5分、復路約5時間20分~6時間20分が目安です。距離はハノイ約3,720km、ホーチミン約4,380kmと南部の方が少し遠いぶん往路時間も長くなります。地方空港発の直行便では、例えば福岡~ハノイが約5時間、関西~ホーチミンが約6時間程度です。乗継便利用時は経由地と待ち時間によりますが、全体で8~12時間以上を見込んでおきましょう。

航空会社はJAL・ANA・ベトナム航空(いずれも機内食や預け荷物込み)と、近年日本路線を拡大しているLCCベトジェットエア(機内サービス有料・安価)があります。羽田・成田・関空発は両都市とも選べますが、名古屋・福岡発はハノイ行きのみ直行便があるため、該当地域の方は目的地選びの材料になるでしょう。なお、ハノイ・ホーチミンとも都市圏人口は多く国際線需要が高いため、繁忙期は直行便の予約競争率が上がります。希望の日時が満席の場合、乗継便として韓国・中国・バンコク経由等のルートも検討すると良いでしょう。

主要航空会社比較(日本→ハノイ/ホーチミン)2025年版

航空
会社
種別主な
発着
空港
平均
往復
運賃
(諸税別)
受託
手荷物
機内食サービス
/特徴
公式
サイト
ANA
(全日本空輸)
フルサービスキャリア(FSC)羽田・成田・関空 → ハノイ/ホーチミン約6〜9万円前後2個(合計46kgまで)無料無料時間帯・快適性・清潔な機内。ビジネス層に人気https://www.ana.co.jp/en/vn/
JAL
(日本航空)
フルサービスキャリア(FSC)成田・関空 → ハノイ/ホーチミン約6〜10万円前後2個(合計46kgまで)無料無料安定運航と日本語対応。マイル重視派に最適https://www.jal.co.jp/
Vietnam Airlines(ベトナム航空)フルサービスキャリア(FSC)羽田・成田・関空・中部・福岡・広島 → ハノイ/ホーチミン約5〜8万円前後1個23kgまで無料無料運航便数が多く、国内線・ASEAN接続が強みhttps://www.vietnamairlines.com/en-jp/flights-from-japan
VietJet Air
(ベトジェットエア)
格安航空会社(LCC)成田・関空 → ハノイ/ホーチミン約3.5〜5.5万円前後有料(1個あたり約2,000〜4,000円)有料最安値重視。片道1万円台〜も。短期・弾丸旅行向けhttps://www.vietjetair.com/ja

2.2 ハイシーズン/ローシーズンの運賃傾向(諸税別)

航空券代は渡航時期によって大きく変動します。一般にベトナム行き航空券が高騰するハイシーズンは、日本の大型連休(4月末~5月GW、8月お盆、年末年始)および現地のテト(旧正月)前後です。これらの時期は旅行需要が集中するため、往復で6~7万円台以上と高めになります。逆に安い時期は6月、9~11月で、日本側は連休がなく、現地も雨季のオフシーズンに当たります。この時期の航空券相場は往復4万5千~5万円前後から見つかり、繁忙期との価格差は2万円以上になることもあります。また同じ乾季でも、ホーチミンは11~4月が人気(雨が少ないため)で若干高め、ハノイは秋~初冬(9~12月)が観光ベストシーズンとして高めになる傾向です。

さらに、フルサービスキャリア(FSC)とLCCでも価格帯が異なります。フルサービスのエコノミー席は安い時期で5万円前後~、高い時期には10万円以上になることもあります。LCCのプロモーション運賃なら片道1万円台~も出ますが、受託手荷物や機内食は別料金です。ざっくり言えば、閑散期(雨季)の往復総額は4.5~6万円程度、通常期で5~6万円台、繁忙期は7万円超が相場。実際には購入時期(予約は2~3ヶ月前が安いとされます)や曜日によっても変わるため、複数社の料金を比較してみましょう。なお、ベトナム国内線はLCC含め路線が多く安価(片道数千円~)なので、長期休暇ならハノイ&ホーチミン両方訪れるプランも検討できます。

ハイシーズン/ローシーズンの航空券相場比較(日本 → ベトナム)※諸税別

項目ハイシーズンローシーズン
主な時期4月末〜5月(GW)
8月(お盆)
12月末〜1月初(年末年始)
現地テト(旧正月前後)
6月、9月〜11月(日本の連休なし・現地雨季)
平均往復運賃
(諸税別)
約 6〜9万円前後(ANA・JAL・ベトナム航空)
約 5〜7万円前後(LCC/ベトジェット)
約 4.5〜5万円前後(FSC)
約 3.5〜4.5万円前後(LCC)
価格差
(繁忙期との比較)
最大 2万円以上安い(同条件比較)
需要の特徴日本・ベトナム両国の休暇が重なり混雑。
直行便満席リスク高く、予約競争率上昇。
航空券・ホテルともに空きが多く、価格が安定。
LCCセール頻発。
ハノイ人気期秋〜初冬(9〜12月)
乾季で観光に最適。
雨季の合間(5〜7月)や年明け以降が比較的落ち着く。
ホーチミン人気期乾季(11〜4月)
快晴日が多く観光に最適。
雨季(5〜10月)
スコールありだが観光に支障は少ない。
フルサービスキャリア(FSC)
平均価格(諸税別)
約 6〜10万円(時期による)約 5万円前後〜(割引時は4万円台も)
LCC(ベトジェット)
平均価格(諸税別)
約 5〜7万円(機内食・荷物別料金)約 3.5〜4.5万円(セール時は片道1万円台〜)
購入タイミングの目安出発の 3〜4ヶ月前(早期予約推奨)出発の 1.5〜2ヶ月前(価格安定期)
注意点GW・年末年始はFSC満席、LCCも高騰傾向。
現地テト期間中は国内移動・店舗休業に注意。
雨季にあたるため、観光地では短時間のスコールに備える。
屋外観光のスケジュール調整を。
【補足説明】
・諸税別とは:燃油サーチャージ・空港使用料・保安サービス料・発券手数料などを除いた基本航空運賃を指します。実際の支払い総額は、これらの諸税を加えて +1.5〜2.5万円程度 高くなるのが一般的です。
・LCCの場合、受託手荷物・座席指定・機内食などが別料金のため、総額でFSCとの差が縮まることもあります。
・FSC(フルサービスキャリア)は価格変動が小さく、シーズンをまたぐ長期予約でも安定した水準を保つ傾向があります。

2.3 空港から市内へのアクセス(所要時間・費用・快適度)

到着後の空港→市内移動も気になるポイントです。ハノイの玄関口はノイバイ国際空港(HAN、旧市街から約27km北)、ホーチミンはタンソンニャット国際空港(SGN、市中心部から約6km)です。距離的にはホーチミン空港が中心部に近く便利ですが、交通渋滞を考慮する必要があります。両空港とも主要な移動手段はタクシー、配車アプリ(Grab等)、バス、ホテル送迎です。それぞれ所要と費用を比較しましょう。

ハノイ:ノイバイ空港から旧市街までは高速道路経由で車で約45~60分、料金はタクシーで約30万~40万ドン(約1,500~2,000円)。Grabカー(配車アプリ)でもほぼ同額(約25万~35万ドン)ですが、ピーク時は多少割増になる場合があります。市内行き公共バスは路線が複数あり格安(9,000~45,000ドン=約50~220円)ですが、停留所での待ち時間含め45~90分かかります。旅行に慣れている方には空港バス「86番」が便利で、エアコン完備でホアンキエム湖近くまで直通(約1時間・4万5千ドン)です。ホテル事前手配の送迎車は安心ですが料金はホテル規定(高級ホテルでは無料の場合も)で、相場は片道20~40ドル程度です。ハノイでは強引な白タク業者もいるため、到着ロビー正規のタクシー乗り場を利用し、ぼったくりを避けましょう。

ホーチミン:タンソンニャット空港から中心部までは渋滞なしなら車で15~20分ほどと近距離です。タクシー料金は15万~20万ドン(約800~1,100円)+空港料金1万ドン程度で、深夜でも市内まで行けます。Grabカーは少し安く13万~17万ドンが目安。ただし市内中心は慢性的に渋滞するため、夕方の移動は30~40分以上かかることもあります。公共バスなら空港発の黄色い109番バスが有名で、ベンタイン市場まで約40~60分・2万ドン(約80円)と格安。大きな荷物がある場合は車内が混雑する可能性もありますが、英語スタッフが乗っており安心です。ホーチミンも公式タクシー乗り場以外で客引きがいることがありますが、Mai Linh(マイリン)やVinasun(ビナサン)など大手を選べばメーターで安心です。総じてホーチミンは空港からのアクセスが良好で、到着後すぐ市街地のホテルにチェックインできる手軽さがあります。

3. 観光スポットと体験価値

続いて各都市の観光面を比較します。ハノイは伝統と歴史、大自然が魅力で、ホーチミン市は戦争史跡や都会的な観光、メコン川ツアーなどが楽しめます。それぞれの見どころと体験、さらにテーマ別のおすすめスポット、ナイトライフやカフェ文化の違いを見ていきましょう。

3.1 ハノイの見どころ(旧市街・世界遺産・日帰り郊外)

ハノイ観光でまず外せないのが、ホアンキエム湖を中心とした旧市街エリアです。「36通り(ハノイ旧市街)」と呼ばれるこの地区には、中世からの職人街の名残りとフランス統治期の建物が混在し、街全体がレトロな雰囲気に包まれています。狭い路地や軒先に商品が溢れる市場通りを散策すれば、ベトナムの庶民生活や伝統工芸品のお店巡りが楽しめます。旧市街散策のハイライトには、ホアンキエム湖と玉山祠、赤い太陽橋(朝陽橋)があります。早朝には散歩をする人々で賑わい、夜はライトアップされた橋と水面のリフレクションが幻想的です。

市内の歴史的名所も見逃せません。ホーチミン廟や大統領官邸、一柱寺が集まるバーディン広場では、ベトナム建国の父ホーチミン主席の足跡を辿れます。儒学の孔子廟である文廟(1070年創建)は、ベトナム最古の大学として石碑や庭園が残り、静謐な空気の中で歴史を感じられます。またフランス統治の面影を残すハノイ大教会(聖ヨセフ大聖堂)や、戦争期に政治犯が収容されたホアロー収容所博物館なども人気スポットです。

ハノイ滞在の目玉として多くの旅行者が計画するのが、郊外の日帰りツアーです。中でも世界遺産のハロン湾クルーズや、ニンビン省のチャンアン複合景観(陸のハロン湾)は大人気で、雄大な石灰岩奇岩の絶景が広がります。ハノイ発着ツアーでハロン湾・チャンアンを訪れれば、壮大な大自然を目の当たりにでき、「ベトナム北部に来てよかった!」と感じるハイライトになるでしょう。これら郊外観光はホーチミン側でもメコンデルタ等で可能ですが、スケールの大きさではハノイに軍配が上がります。その他、ハノイ周辺には陶器の村バッチャン村や少数民族のカラフルな市場で有名なサパ(遠方)など、伝統文化や自然を味わう目的地も豊富です。

3.2 ホーチミン市の見どころ(統一会堂・戦争証跡・メコン)

ホーチミン市(旧サイゴン)は近代的な都市景観の中にベトナム戦争やフランス統治の歴史が垣間見える街です。観光スポットが1区エリアに集中しており、徒歩で主要名所を回れる手軽さも魅力です。まず訪れたいのが統一会堂(独立宮殿)です。旧南ベトナム政権の大統領官邸で、1975年に解放軍戦車が突入しサイゴン陥落の舞台となった歴史的建造物です。内部には当時の作戦司令室や大統領執務室が残され、ベトナム近代史を肌で感じることができます。

次にベトナム戦争証跡博物館では、戦争の悲惨さを伝える写真・兵器が展示されています。実物の戦車や戦闘機、枯葉剤の被害写真など生々しい資料に胸を打たれますが、日本も協力して1975年に開館した施設で、戦争の教訓を学ぶ重要なスポットです。やや重たい内容ですが、見学後は同じ1区内のサイゴン大教会(聖マリア大聖堂)や中央郵便局といったフランス様式の美しい建築群を巡り、気分を切り替えて街歩きを楽しめます。特に聖堂と郵便局は荘厳でフォトジェニックなので、多くの観光客が訪れています。

ホーチミンから足を延ばした郊外ツアーも人気です。代表的なのはメコン川クルーズとクチトンネル。メコン川ツアーでは、ホーチミン南西に広がるメコンデルタ地帯でボートに乗り、水上マーケットや果樹園、小舟でのジャングルクルーズなど南部ならではの自然と人々の暮らしを体感できます。クチトンネルは戦時中に解放戦線が掘った地下トンネル網で、実際に狭いトンネルに入る体験ができます。いずれも日帰りで参加でき、市内観光とは異なる角度からベトナムを知ることができるでしょう。規模では前述の通りハノイ発のハロン湾などに劣るものの、旅程にツアーを組み込んで観光密度を高めたい人にはハノイ、自由行動で街歩きを楽しみたい人にはホーチミンといった住み分けになります。

3.3 テーマ別おすすめ(歴史散策/写真スポット/自然・クルーズ)

歴史散策なら、ハノイでは旧市街~ホアンキエム湖周辺の古い街並みを歩きつつ、ハノイ城跡や大教会、文廟などを巡るルートが渋くておすすめです。職人街では漆器や刺繍など伝統クラフト店ものぞいてみましょう。ホーチミン市では先述の戦争証跡博物館や統一会堂を起点に、同じ通り沿いにあるフランス統治期のオペラハウスや人民委員会庁舎(外観のみ)を見て回ると、戦争と平和・過去と現代のコントラストを感じられます。

写真好きには、それぞれユニークな撮影スポットがあります。ハノイでは長閑な鉄道沿いの風景が撮れる「トレインストリート」や、13の古い鉄道高架下に壁画が描かれたフンフン通りの壁画ストリートが隠れた名所です。他にも黄昏時のホアンキエム湖や、古いフレンチビラを改装したお洒落カフェなどがフォトジェニックです。一方ホーチミンでは、夜景撮影にビテクスコ・タワー展望台からの摩天楼ビューが人気。市内中心部のグエンフエ通り(歩行者天国)の街並みや、バックパッカー街ブイビエンのネオン輝く雑踏も活気ある一枚が狙えます。また中華街チョロンのティエンハウ廟ではお線香の煙と柔らかな光が差し込む神秘的な写真が撮れるでしょう。

自然・クルーズ系では、ハノイ発ならやはりハロン湾クルーズが不動の人気です。日帰りでも可能ですが、一泊船上宿泊すれば朝夕の幻想的な景色を堪能できます。他にニンビン省のチャンアンでは手漕ぎボートで川下りし、奇岩と田園風景を楽しむことができます。ホーチミン発ではメコン川クルーズでジャングルクルーズ気分を味わったり、さらに足を伸ばしてカンザー湿地でのボートサファリ(ワニやコウモリ見学)などユニークな自然体験があります。クルーズではありませんが、ホーチミン近郊には世界自然遺産のカティエン国立公園(ホーチミンから車約4時間)もあり、長期旅行者なら自然観察ツアーに参加する手もあります。

3.4 ナイトライフ・カフェ文化・マーケット比較

夜の楽しみ方やカフェ文化にもハノイとホーチミンの個性が出ています。ハノイの夜は主にホアンキエム湖周辺と旧市街で過ごす人が多く、有名なのは水上人形劇のナイトショーや週末ナイトマーケット(金土日のみ)です。旧市街のターヒエン通りは「ビアホイ(生ビール)通り」として若者や旅行者で賑わい、プラスチック椅子に座って格安ビールを楽しめます。ただし旧市街のバー街は騒がしく若者向けなので、中高年には少し騒がしく感じるかもしれません。一方ホーチミン市の夜は選択肢が豊富です。ドンコイ通り周辺でお洒落なディナーやショッピングを楽しんだり、ベンタイン市場近くのナイトマーケット(屋台街)で食べ歩きしたり、あるいはブイビエン通りのバーで各国の旅行者とワイワイ盛り上がることもできます。ホーチミンでは夜景を眺めながらのサイゴン川ディナークルーズや、伝統芸能のゴールデンドラゴン水上人形劇など情緒的な過ごし方も可能で、ナイトライフの充実度はハノイより上と言えるでしょう。

カフェ文化はベトナム全土で盛んですが、ハノイは昔ながらの老舗カフェが多く、ホーチミンは新しいトレンド系カフェが続々登場しています。ハノイ名物のエッグコーヒー発祥店「カフェ・ズン (Giảng)」は1946年創業で、濃厚な卵泡とコーヒーの甘さが絶妙。また路地裏にひっそり佇む伝統茶カフェや、フレンチヴィラを再利用した静かなカフェなど、落ち着いた雰囲気を味わえます。一方ホーチミン市は若者人口が多く、Instagram映えするモダンなカフェが次々オープン。高層ビルのルーフトップカフェや、有名チェーンの洗練された店舗など選択肢の幅広さが特徴です。もちろんホーチミンにも老舗「ブロンズドラム」など伝統的カフェはありますが、全体としては食・カフェの多様性はホーチミンの方が上でしょう。

マーケット好きにも両都市は応えてくれます。ハノイ旧市街のドンスアン市場はローカル向け卸市場ですが観光客にも人気で、乾物から衣料品、雑貨まで所狭しと並んでいます。夜は周辺にナイトマーケットが立ち露店が連なります。ホーチミンのベンタイン市場は観光名所化した中央市場で、お土産や服飾が揃い値札がないので交渉も楽しめます。夕方以降は市場周辺の道路にナイトマーケット屋台街が出現し、ローカルフードの屋台が並んで活気があります。またホーチミンには中華街ビンタイ市場(チョロン地区)もあり、こちらはより地元色が強い問屋市場です。総じて、市場での値切りや買い物好きなら両方楽しめますが、観光客に優しいのはベンタイン市場(表示や簡単な日本語も通じる店がある)です。ハノイの市場は良くも悪くも素朴でローカル度が高いので、積極的に現地体験したい人向きと言えます。

マーケットの雰囲気にも違いがあります。ハノイ旧市街の市場は狭い路地に商品がひしめき合い雑然としていますが、そこに昔ながらの活気が感じられます。一方ホーチミンのベンタイン市場(写真)は天井が高く広いホール型で、通路もある程度整備され観光客でも歩きやすくなっています。もっとも人混みではスリ被害も起きやすいので、貴重品は前ポケットかバッグに入れて常に身につけるなど両都市とも注意が必要です。

4. グルメ比較─“食都”としての満足度

ベトナム料理は世界的に人気が高く、ハノイとホーチミンそれぞれ名物料理や食文化に特徴があります。ここでは代表的な郷土料理、屋台からレストランまでの使い分け、料金相場や注文時のコツ、コーヒー・スイーツ文化の違いを比較します。どちらの街も食い倒れできる魅力がありますが、味付けやバリエーションに注目してみましょう。

4.1 代表料理(フォー/ブンチャー/バインミー/フーティウ など)

まず、両都市で味わえる代表的な料理を押さえましょう。ベトナムを代表する麺料理「フォー」は全国どこでも食べられますが、実は発祥はハノイとされ、北部と南部で味が異なります。ハノイのフォー(特にフォー・ガー=鶏)は塩や魚醤ベースのあっさりした出汁で、素材の旨味を活かしたシンプルな味。一方ホーチミンのフォー(フォー・ボー=牛)はハーブや甘みを効かせた濃い目のスープが多く、テーブルには様々な香草ともやしが添えられます。「同じフォーでもこんなに違うのか!」と感じるので、食べ比べるのも一興でしょう。

ハノイの名物料理として有名なのがブンチャーです。細い米麺(ブン)と炭火焼きした豚つくね・豚バラ肉を甘酸っぱいタレに浸して食べる料理で、オバマ元米大統領もハノイ訪問時に食べたことで話題になりました。ブンチャーは北部発祥で、ホーチミンでも食べられますが本場ハノイの店がやはり評判です。ホーチミンの代表格はバインセオ(米粉の薄焼きクレープにエビや豚を包んだ料理)で、南部風は生地がカリカリで甘みのある味付けが特徴。ハノイにもバインセオはありますが、南部ホーチミンが本場と言えるでしょう。

また、バインミー(ベトナム式サンドイッチ)は全国どこでも美味しいですが、ホーチミンには行列のできる名店があり甘めのソースが独特です。一方ハノイではパテや醤油風味のしょっぱい味付けが多く、日本人に馴染みやすいという声もあります。さらに、ホーチミン発祥のフーティウ(南部風米麺)やブンマム(発酵魚汁の汁麺)は南部でしか食べられないといわれ、逆にハノイのチャーカー(魚のターメリック焼き)などはハノイ以外では少ないです。つまりハノイの名物はホーチミンでも割と食べられるが、ホーチミン名物はハノイではレアという状況で、食の多様性ではホーチミンが勝ります。もちろん両都市とも各地の郷土料理やフレンチ・日本食・ピザ等まで多国籍料理も充実しており、長期滞在でも飽きないでしょう。

4.2 屋台・大衆食堂・カフェの使い分け

ベトナムでは屋台(ストリートフード)からローカル食堂、カフェやレストランまで多彩な食のシーンがあります。旅行中の食事も、シーンに応じて使い分けると良いでしょう。

ハノイは街角の小さな屋台や路上食堂が今も多く、朝食のフォーやバインミーを小さな椅子に座ってサクッと食べる光景が見られます。英語が通じなくても指差し注文で気軽に挑戦でき、価格も1皿2~5万ドン(約120~300円)と格安です。一方ホーチミン市も屋台文化は健在ですが、人口が多い分屋台より大衆食堂(ローカルレストラン)利用が主流です。現地の人々は昼食に「コムビンザン」(おかず選びご飯)など食堂をよく利用し、ビールを飲んでも1人1,000円程度という安さ。旅行者も清潔そうな大衆食堂なら安心して入れます。

カフェについては、ベトナムコーヒー(濃いコーヒーに練乳を入れる)が国民的飲み物だけあり、各所に点在します。ハノイでは古民家カフェや文人が集った伝統喫茶など渋い店が多く、一杯15,000ドン(約90円)ほどから楽しめます。ホーチミンはチェーン系のお洒落カフェも増え、値段もやや高めで一杯30,000~50,000ドン(180~300円)するお店もあります。もっとも、この価格でも日本の1/3~1/2なので、どちらも安くて美味しいコーヒー天国と言えるでしょう。

旅行者目線では、胃腸に自信が無ければ屋台は加熱された物だけにする/氷入りドリンクは信頼できる店だけにするといった注意が必要です。またチップ文化は基本ありませんが、サービスが良かった時に1万ドン程度置いたり、タクシーでお釣りの小銭を渡したりする程度の心遣いは歓迎されます(必須ではありません)。支払いは現金中心ですが、大きなレストランやカフェではカードも使えます。メニューはベトナム語表記のみの店もあるので、「牛肉(ボー)」「鶏肉(ガー)」など主要単語を覚えておくと便利でしょう。ホーチミンの観光エリアでは英語メニューの店も多く、指さしでも通じる場合がほとんどです。

4.3 価格帯と注文のコツ、チップ・支払い事情

食費の物価はハノイ・ホーチミンとも日本の数分の一で、旅の大きな魅力です。目安として、屋台軽食は2~4万ドン(約120~240円)、ローカル食堂の定食で5万~10万ドン(約300~600円)、観光客向けレストランの夕食でも10万~20万ドン(約600~1,200円)程度です。高級店に行かない限り、一食1,000円を超えることは少なく、日本人にとっては非常に安く感じるでしょう。ただし近年は都市部の価格上昇もあり、特にホーチミンではおしゃれレストランやバーだと日本並み(1人3,000円以上)になる場合もあります。全体的にはハノイの方が物価はわずかに安めと言われますが、大差はありません。どちらでも安い屋台食から高級店まで幅広く、自分の予算に応じて調整可能です。

注文時のコツとして、言葉に不安があれば指差しやスマホ翻訳を活用しましょう。ハノイでは英語があまり通じないローカル店もあり得ますが、メニューに写真があればジェスチャーでOKです。ホーチミンは観光客慣れしており、簡単な英語なら通じる店員も多いです。また料理名が分からなくても、有名料理は日本語ガイドブックに写真付きで載っているので見せれば通じる場合もあります。ベトナムでは人数分ではなく料理単位で注文し、皆でシェアして食べるのが一般的です。フォーなどは一人一杯頼みますが、おかずは2人で2~3品頼んで一緒に食べるスタイルです。

チップについては、基本的に請求額以外払う必要はありません。高級店ではサービス料が加算されていることもあります。タクシーもお釣りの小額を渡す程度で十分です。ホテルのポーターに荷物を運んでもらった時に1~2ドル渡す程度はしても良いでしょうが、必須ではありません。むしろ大事なのは値段交渉で、タクシー以外の交渉式料金や市場での買い物など言い値で買わず値切るのがローカル流です。特にホーチミンのベンタイン市場は最初は観光客価格を提示されるので、半額以下まで交渉することも珍しくありません。ハノイのドンスアン市場は地元卸価格なので逆に交渉は難しいですが、観光客とわかると上乗せされる場合もあるので注意しましょう。

4.4 ご当地コーヒー&スイーツの違い

ベトナムのコーヒー文化とスイーツにも地域色があります。北のハノイ名物は何と言ってもエッグコーヒー(カフェ・チュン)です。濃いコーヒーに砂糖と卵黄を泡立てたクリームを載せた飲み物で、デザートのような不思議な美味しさ。発祥の「Cafe Giảng」は今も健在で、ハノイ観光客の定番巡礼スポットです。一方、南のホーチミンでは暑さゆえにアイスコーヒー(カフェ・スア・ダー)が定番で、練乳入りの甘い氷コーヒーをガブガブ飲むスタイル。香り高いロブスタ種コーヒーに練乳のコクが加わり、南部の人々は午前からグラス片手にくつろいでいます。最近はホーチミンでもエッグコーヒーを出す店が増えましたが、やはりご当地ドリンクとしてはハノイ=エッグコーヒー、ホーチミン=アイスミルクコーヒーでしょう。

スイーツ面では、ハノイには昔ながらのチェー(Chè)と呼ばれる甘味があります。温かい豆や芋のぜんざい風から、クラッシュアイスにシロップとフルーツ・ゼリーを混ぜた冷たいものまで様々ですが、ハノイ旧市街の老舗チェー店では素朴な味にほっこりします。ホーチミンのチェーはカラフルで具沢山なものが多く、特に人気なのが「チェー・スリーカラー」と呼ばれる3色のゼリーデザートや、フルーツ山盛りのチェーです。さらにホーチミンでは南国フルーツを使ったスムージーやジューススタンドが多いのも特徴で、1杯20,000ドン(約120円)ほどでマンゴーやパパイヤの生ジュースが飲めます。ハノイでも果物はありますが、種類豊富さでは南部に軍配です。

また近年、ホーチミンではモダンスイーツ店も増え、日本人パティシエ監修のケーキカフェなども登場しています。伝統菓子ではハノイの「バインコム」(若米を固めた餅菓子)やホーチミンの「バインフラン」(プリン)が名物ですが、お土産としては両都市で共通のココナッツお菓子や緑豆ケーキなども定番です。コーヒー豆も有名土産ですが、ハノイ・ホーチミンで売っているものに大差はありません。ただ品揃えはホーチミンの方が豊富な傾向があり、例えば定番の蓮の実茶やドライフルーツ、カシューナッツ菓子など、南部の方が店の選択肢が多いです。

総じて、食の好みで言えば「薄味さっぱり派はハノイ、甘辛濃い味好きはホーチミン」が合うかもしれません。ただ両方とも他地域の料理も揃っているため、「食でハズレが少ないのはどっち?」と聞かれれば好みによるというのが正直なところです。強いて言えば、食のバラエティではホーチミン、伝統の味ではハノイという図式でしょう。

5. ホテル・宿選び

次に宿泊事情の比較です。ハノイとホーチミンはともに宿泊施設が充実していますが、エリアの特徴や相場感、設備・サービス面で若干の違いがあります。自分の旅の目的や予算に合わせて最適な宿を選ぶために、それぞれの主要エリアと価格帯別相場、設備特徴、予約のタイミングについて解説します。

5.1 主要エリアと滞在拠点(立地メリット/デメリット)

ハノイの宿泊エリア:観光旅行者に人気なのは旧市街・ホアンキエム湖周辺です。歴史地区の風情を楽しみつつ、飲食店やお土産店が近くにあり利便性抜群。ただし街が雑多で夜も少し騒がしいため、静かな滞在を望むなら旧市街から徒歩圏のフレンチクオーター(大教会周辺)や、少し南のハイバーチュン区などがおすすめです。またタイ湖(西湖)周辺には高級ホテルが点在し、景色が良く落ち着いたエリアですが、市中心から離れるため観光には車移動が必要になります。実際「五つ星ホテルに泊まったら郊外で、結局どこへ行くにもタクシー移動で不便だった」という声もあり、ハノイでは立地とホテルグレードのバランスを考えることが重要です。

ホーチミン市の宿泊エリア:メインの1区に集中しています。観光の中心ドンコイ通り~グエンフエ通り周辺は高級ホテルから中級ホテルまで揃い、主要スポットが徒歩圏で移動が楽です。またバックパッカーエリアのファングーラオ通り(デタム通り)周辺は安宿・ゲストハウスがひしめき、低予算旅行者に人気ですが夜はにぎやかで治安面の注意も必要です。近年、韓国人街のある7区や新興の2区タオディエンにコンドミニアム系宿も増えましたが、観光目的なら基本1区滞在が便利でしょう。ホーチミンは観光スポットが1区に固まっているため、ベンタイン市場付近やオペラハウス付近のホテルを選べば多くの場所へ徒歩でアクセスできます。渋滞する街なので、立地が良いことは大きなメリットです。

両都市とも日本人街があり、ハノイではバーディン区リータイトー通り界隈、ホーチミンでは1区レタントン通り周辺に和食店や日系ホテルが集まります。現地情報に不安な方はこうしたエリアのホテルを選ぶと、日本語対応スタッフがいたり情報収集しやすかったりする利点があります。ただしハノイの場合、日本人街エリアは中心から少し離れるため、観光拠点にはやや不便かもしれません。

5.2 グレード別の相場感(ゲストハウス/ミッドレンジ/高級)

価格相場は概ねハノイ・ホーチミン同程度ですが、都市規模が大きいホーチミンの方が宿の数が多く選択肢が豊富です。以下目安となる一泊料金を挙げます(1室2名利用、平常時)。

  • 格安ゲストハウス・ホステル:ドミトリーで1,000~1,500円前後、個室でも2,000~3,000円程度からあります。バックパッカー街に集中し、設備は簡素ですがWi-Fiは大抵無料。ホーチミンはゲストに朝食無料サービスを付ける所も多く、ホスピタリティで頑張っている印象です。ハノイも旧市街に多数あり、家族経営のアットホームな宿が見つかります。
  • 中級ホテル(3~4つ星):両都市とも5,000~8,000円/泊が相場です。清潔で設備もひと通り揃い、立地も良いホテルが多くコスパ抜群の層です。例えばホーチミン1区の3つ星ホテルは6千円台で屋上プール付きなんて所もありますし、ハノイ旧市街のブティックホテルは日本人評価が高い所でも7千円ほどです。4つ星以上になるとホーチミンではプール・ジム完備が標準ですが、ハノイでは4つ星でもプール等が無い場合があります。この点、ホーチミンは4つ星でも施設充実、ハノイはプール等は5つ星のみという違いがあります。
  • 高級ホテル(5つ星):外資系ラグジュアリーホテルも日本より割安で、1万~2万円台で泊まれます。ホーチミンでは「レックス」「マジェスティック」「日航」など歴史ある高級ホテルから、新鋭の「ルクス」「パークハイアット」まで多数あり、競争が激しい分キャンペーンでお得に泊まれることも。ハノイも老舗の「メトロポール(旧フレンチクオーター)」や近代的な「ロッテホテル(タイ湖)」などが人気ですが、所在地が市内各所に散らばっているため、立地を考慮して選びましょう。例えば観光重視なら旧市街近くのソフィテルメトロポール、眺望重視ならタイ湖畔のインターコンチネンタルという具合です。

どちらの都市も新設ホテルが次々とオープンしており、価格競争があるため、割安感のある宿が見つけやすいです。ハノイよりホーチミンの方がホテル数が多く、予約サイトのレビュー件数も多いので、評価を見比べて納得の宿を選びましょう。

ハノイのホアンキエム湖周辺で滞在しやすいホテルを、価格帯(1泊あたり)も含めて5軒ご紹介します。

1. アプリコット ホテル ハノイ(Apricot Hotel Hanoi)
 ホアンキエム湖の目の前に建つアートホテル。クラシックな外観とフレンチ調の内装で、湖ビューの部屋も人気。
 予算目安:1泊 約128〜150ドル(約2.0〜2.5万円)
 ラグジュアリー層・記念旅行・特別な滞在におすすめ。

アプリコット ホテル (Expedia)

2. ミネルバ プレミアム ホテル(Minerva Premium Hotel)
 湖まで徒歩5分の静かな立地。中規模でサービスの質が高く、コスパが良いと評判。
 予算目安:1泊 約70〜120ドル(約1.1〜1.7万円)
 観光重視・快適性重視のバランス派に最適。

ミネルヴァプレミアムホテル(Expedia)

3. ハノイ パール ホテル(Hanoi Pearl Hotel)
 旧市街と湖の間に位置し、ナイトマーケットやレストランにも近い。アクセス重視で観光に便利。
 予算目安:1泊 約50〜90ドル(約7,000〜1.3万円)
 立地と価格のバランスが良く、リピーターも多い人気ホテル。

ハノイ パール ホテル(Expedia)

4. ハノイ ブティック ホテル & スパ (Hanoi Boutique Hotel & Spa)
 ホアンキエム湖から徒歩すぐ、旧市街の中心に位置するブティックホテル&スパ。スタイリッシュな空間と高いサービスで評価が高いです。予算目安:1泊 約60〜100ドル(約9,000〜15,000円)。

ハノイ ブティック ホテル & スパ(Expedia)

5. ザ オリエンタル ジェイド ホテル (The Oriental Jade Hotel)
 ホアンキエム湖を望むデザインホテル。ラグジュアリーながら規模を抑えた静かな滞在に適しています。予算目安:1泊 約120〜180ドル(約1.8〜2.7万円)。

ザ オリエンタル ジェイド ホテル(Expedia)

5.3 設備・サービス比較(Wi-Fi/朝食/スパ/プール)

Wi-Fiはベトナムの都市部ホテルならほぼ全施設で無料提供されています。速度も高速な所が多いので、リモートワーク等でも安心です。朝食付きかどうかは宿によりけりですが、中級ホテル以上ではビュッフェ朝食が付くプランが標準です。ホーチミンの方がビュッフェが豪華な傾向にあり、生春巻きやフォーをその場で作ってくれるサービスを用意しているホテルもあります。ハノイでは家族経営の小さなホテルでも簡単な朝食(パンと卵程度)をサービスするケースが多く、ホスピタリティ精神は高いです。

スパ・マッサージ施設は、ホーチミンでは中級以上ホテルには大抵併設されています。特にスパ天国ともいわれるホーチミン、市内にマッサージ店が無数にありますが、ホテル内スパは安心感があります。ハノイは高級ホテル以外はスパが無い所も多く、その代わり街中の有名スパ店に出向く人が多いようです。プールは先述の通り、ホーチミン市では4つ星クラスでも屋外プール完備が一般的ですが、ハノイではプール付きは5つ星級に限られることが多いです。夏場の暑い時期やお子様連れなら、ホーチミンのホテルの方がプール利用で涼めるメリットがあります。ジムやキッズルームも同様に、ホーチミンでは4つ星から標準装備、ハノイは5つ星のみという場合がほとんどです。

サービス面では、言語対応に多少差があります。ホーチミンのホテルスタッフは英語堪能な人が多く、日本人ゲストが多いホテルでは日本語対応スタッフが常駐していることも(日航や東屋ホテル等)。ハノイも英語は通じますが、若干片言だったり聞き取りにくかったりする場合もありました。ただ、これは個々のホテル次第で大差ないとも言えます。両都市ともスタッフは親切でフレンドリーな印象です。その他設備では、バスタブ付き客室の比率がホーチミンの方が高く(洋風文化が強いためか)、ハノイはシャワーのみの部屋も多いです。冬のハノイは冷えるのでバスタブ欲しい方は予約時に確認しましょう。

5.4 予約タイミングとキャンセル規定の目安

予約のタイミングは、日本の大型連休に当たる時期や現地のテト(旧正月)に重なる場合は早めが鉄則です。特にお盆・年末年始は人気ホテルが満室になることもあるので、2~3ヶ月前には押さえておきたいところ。逆にオフシーズン(雨季の6~9月など)は直前でも空室がありますが、料金は早期予約割引を提供するホテルが多いので、やはり早め予約がお得です。

キャンセル規定はホテルや予約サイトによって様々ですが、一般的にはチェックインの前日~3日前を過ぎるとキャンセル料1泊分などが発生するケースが多いです。ベトナム国内の日系ホテルでは「48時間前まで無料キャンセル、それ以降は1泊50%徴収」など細かく規定している例もあります。予約時に無料キャンセル可のプランを選べば、万一の日程変更でも安心です。最近はOTA(オンライン旅行代理店)での予約が主流ですが、アゴダやブッキングドットコムでは「○月○日○時まではキャンセル無料」と明示されているので確認しましょう。なおテト時期など特別期間はキャンセルポリシーが厳しくなることがあり、1週間~30日前までにキャンセルしないと全額請求といった場合もあります(特に団体予約が多い高級ホテルに多いです)。不安な場合は事前にホテルへメールで確認すると良いでしょう。

当日予約無し飛び込みについては、ハノイ・ホーチミンとも日本ほど厳しくなく、空室さえあれば歓迎されます。ただし料金はウォークインだと高め提示になることもあるので、到着当日でもネットで予約してから行く方が賢明です。またチェックイン時にパスポート提示と、ホテルによってはデポジット(預かり金)を求められることがあります。デポジットは数千円程度をカード仮チャージされ、問題なければチェックアウト時キャンセルされます。

6. 市内移動と日帰りトリップ

現地での市内交通の違いや、郊外への日帰り旅行のモデルプランも両都市で比較しましょう。ハノイ・ホーチミンとも交通量が多く渋滞が課題ですが、移動手段や時間帯による体感差があります。また郊外観光は北部・南部で特色が異なるので、滞在日数に応じて計画すると良いでしょう。

6.1 タクシー/配車アプリ/バス/徒歩の実用度

タクシーは両都市で主要な移動手段です。料金は全国共通メーター制で、初乗り約15,000ドン(約90円)から、以降1kmごとに15,000ドン前後と安価。5km乗っても300円程度なので、短距離移動は気軽に利用できます。ただしハノイ・ホーチミンとも、残念ながらメーター改ざんなどのぼったくりタクシー事例もあるため、大手タクシー会社(緑のMai Linhや白のVinasunなど)を選ぶのが無難です。最近はGrabなど配車アプリが観光客にも一般的になり、スマホから車やバイクタクシーを呼べます。GrabはGPSで現在地指定でき料金もアプリ表示通りなので、言葉に不安でも安心です。料金はタクシーより少し安く設定されていることが多く、例えば車で1kmあたり約25,000ドン(約150円)、バイクタクシーなら15,000ドン(約90円)ほど。クレジットカード登録でキャッシュレス決済も可能で便利です。外国人旅行者の間ではGrab利用が一般的で、特にホーチミンではGrabドライバーの多くが簡単な英語を話せたとの体験談もあります。

バスは路線が多いですが、観光客にはハードルが少し高めです。ただしホーチミンでは13番バスでクチトンネルへ行けたり、ハノイでも空港連絡の86番バスや市内観光用の2階建てバスがあったりと活用できる場面もあります。料金は驚くほど安く、ハノイ・ホーチミン市内バス共に5,000~7,000ドン(30円前後)が主流。ローカル体験したい方や長期滞在者には節約にもなります。ただし路線図の把握や乗り場探しが難しい場合もあるので、時間に余裕がある時向きです。なおホーチミンでは2024年以降に地下鉄(メトロ)1号線が開業予定で、将来的には都市鉄道も移動手段に加わります。

徒歩での移動は、旧市街がコンパクトなハノイの方が適しています。ハノイはホアンキエム湖周辺なら徒歩圏に見所が集中し、歩いてこそ情緒を味わえる街でもあります。ただし歩道がバイク駐輪場化していたり段差が多かったりするので、歩きやすさという点では難があります。ホーチミン市はブロックごとに大きい街路で、特に車通りの激しい通りを横断するのは最初は勇気が要るでしょう。とはいえ観光中心地はまとまっているので、1区内であれば主要スポット間は徒歩15分圏内だったりします。昼は日差しが強いので帽子や日傘を使い、水分補給しながら歩いてください。夜間歩行は明るいメインストリートでは問題ありませんが、裏通りは暗い所もあるので、一人歩きは避けてタクシーで帰るのが安全です。特に女性の夜間外出はハノイ・ホーチミンとも、繁華街以外では慎重に行動しましょう。

6.2 交通渋滞・移動時間の体感差

渋滞事情はホーチミン市の方が深刻と言われます。人口が多く道路網が不足しているため、朝夕のラッシュ時は1区内でも車がほとんど進まないことがあります。排気ガスもひどく「バイクの排ガスで喉が痛くなった」という人も。時間に余裕を持つか、混雑時間帯は無理に移動しない方が良いです。一方ハノイもバイクと車で道路は混みますが、都市の規模が小さい分、渋滞は局所的です。旧市街は車乗り入れ不可の道もあるため、かえって歩いた方が早い場面も。体感的には「ホーチミンの渋滞はハノイ以上」であり、Grab到着予定5分が15分になるのもしばしばです。特にホーチミン空港~市内は距離短いのにラッシュ時は45分以上かかることもあります。

もう一つ、道路横断はベトナム旅行の醍醐味(?)です。信号のない横断歩道をバイク群が止まらず来る中、一定のペースで歩きバイクが避けてくれるという独特の方法です。最初は怖いですが、渡る時は立ち止まらずゆっくりでもいいので一定速度で進むのがコツです。するとドライバーたちがそれを予測して避けてくれます。ホーチミンの交通量は凄まじいですが慣れるとスムーズに渡れるようになります。ハノイも同様ですが、ホーチミンほどのカオスではありません。

総合すると、初心者にはハノイよりホーチミンの方が交通のとっつきやすさでは上かもしれません。なぜなら空港アクセスも簡単で、Grabも普及し、英語も通じやすい環境だからです。ハノイは街が伝統的なぶん観光客向け案内が少なく、多少中級者向けとの声もあります。もっとも最近はハノイもGrabが使えるので不便は大きく減りました。どちらにせよ、安全第一で無理な計画をせず、移動も含め旅を楽しみましょう。

6.3 郊外・近郊の一日モデル(ハロン湾/ニンビン/メコン・デルタ)

最後に日帰りツアーのモデルコースを紹介します。ハノイ発とホーチミン発、それぞれ人気の一日ツアーをピックアップします。

ハノイ発:ハロン湾クルーズ日帰り – 朝7:30頃ホテル出発、バスでハロン湾まで約3時間半移動。12時頃港からクルーズ船に乗船し、船上でシーフードランチ。その後、奇岩群の間を遊覧しながら、水上村訪問や「天宮洞窟」と呼ばれる巨大鍾乳洞見学などを楽しみます。午後にはカヤックや小舟に乗り換えて鍾乳洞内の湖を探検(オプション)したり、甲板で景色を満喫。16時頃下船してバスでハノイへ戻り、20時頃帰着。移動は長いですが、世界遺産の絶景を日帰りで堪能できる充実プランです。もう一つの人気ニンビン省チャンアン日帰りでは、ハノイから2時間半バスで移動し、川下りボートで石灰岩の谷間を巡ります。雄大な景色と古都ホアルー遺跡もセットで見学でき、よりのんびり自然と歴史を楽しめるでしょう。

ホーチミン発:メコン・デルタ日帰り – 朝8時頃市内を出発し、車で2時間ほど南下してメコン川支流の町ミトーへ。まずエンジンボートで大河メコンに漕ぎ出し、中洲の島に立ち寄って果樹園見学や養蜂場で蜂蜜ティー試飲、南国フルーツ盛り合わせを味わいます。手漕ぎボートに乗り換えてジャングルの運河をクルーズし、水椰子に囲まれた水路を進むスリリングな体験も。ランチは名物エレファントフィッシュ料理など郷土料理を堪能。午後はココナッツキャンディ工房で製造見学&試食、お土産購入タイムを経て、15時頃ミトー発→17時頃ホーチミン帰着といった流れです。広大なメコン川の生活を垣間見る内容で、写真映えもします。

その他ホーチミン発では、クチトンネル半日ツアー(13番バス利用で自力も可)や、メコンのさらに奥地カントーで早朝の浮き市場を見る1泊2日ツアーなどもあります。ハノイ発では日帰りで紅河デルタ農村ツアーやPerfume Pagoda(香寺)巡りなどもあり、旅のテーマ次第で様々選べます。おおむねハノイ発は自然景観スケール大、ホーチミン発は文化・生活体験型といえるでしょう。

どちらの都市も、日帰りツアーを有効活用すれば短い旅程でも観光地を効率よく回れる利点があります。逆に自由旅行派なら、あえて郊外ツアーは入れず都市観光に専念するのも手です。旅の日数と興味に応じて、ハノイならハロン湾orチャンアン、ホーチミンならメコンorクチを組み込むか検討してみてください。

7. 治安・安全・トラブル回避

海外旅行では治安や安全面も気になります。ベトナムは全体的に治安が良い国ですが、スリや詐欺など軽犯罪は存在します。ここではハノイ・ホーチミンで注意すべきポイントと、安全に旅するコツをまとめます。日本人観光客の実体験も踏まえ、しっかり対策して楽しい旅にしましょう。

7.1 置き引き・スリ対策、ぼったくり事例と回避策

ハノイ・ホーチミンとも外国人旅行者が巻き込まれやすい犯罪としてスリ、ひったくり、置き引きがあります。特に人混みの市場や観光名所、公共交通機関では、財布やスマホを狙われることが多発しています。対策はシンプルで、貴重品はポケットに入れず常に肌身離さずカバンにしまうこと。バックパックは前掛けにし、リュックの外ポケットには貴重品を入れない。歩きスマホは厳禁で、使用時は建物の中や壁際で行い、道路側にスマホを向けないようにしましょう(※バイクですれ違いざまにスマホを奪われるケースが多いため)。

ひったくりはホーチミンで特に頻繁と報告されています。夜の繁華街で酔った旅行者からバッグを奪ったり、路上で肩にかけていたバッグをバイクで追い抜きざまにひったくるという手口です。大通りを歩く際は車道側にバッグを持たない、ストラップは短く持つなどしてください。女性の場合、抱きつきスリ(女性が近づいてハグし、ポケットから物を抜く)という例もハノイで報告があります。不審者に話しかけられても立ち止まらず距離を保ちましょう。

ぼったくりはタクシーやバイクタクシーでよく聞きます。メーターを改造して法外な料金を請求されたり、降車時にゼロを一つ多く言われたりするケースです。これも大手タクシー会社を使う/Grabで料金固定することでほぼ防げます。シクロ(輪タク)や路上写真サービスなどで「払ったら100万ドンと言われた」等のトラブルも昔から有名です。乗る前に価格交渉と単位確認(千ドンか万ドンか)をし、合意してから利用しましょう。市場での買い物も、値札が無ければ必ず交渉するか、お店を何軒か比較して相場を掴むことが大切です。

なおハノイはホーチミンより全体的に治安が良いとも言われますが、それは夜の騒々しさが少ないからで、実際にはハノイでも観光客を狙ったスリ・置き引き・ぼったくりは日常的に起こっています。日本の常識は通用しないと心得、カバン放置やホテル室内の貴重品管理など気を引き締めましょう。幸い、凶悪犯罪(強盗・暴行など)は非常に少なく、銃やドラッグとは無縁なので命の危険を感じることはまずありません。あとは自分の不注意による盗難さえ防げば、まず安全に旅行できます。

7.2 夜間の歩き方とエリア選び

夜の治安も押さえておきましょう。ハノイ・ホーチミンとも主要観光エリアは22時頃まで人通りがあり比較的安全です。ホーチミンではドンコイ通りやグエンフエ通り周辺は警官も巡回しており、明るく観光客も多いので安心して散策できます。ただし外国人が多い場所には客引き(マッサージ嬢や違法タクシー)もおり、安易について行かないようにしましょう。ブイビエン通り(バックパッカー街)は深夜まで賑わいますが、酔客も多いため泥酔しないよう自衛し、トラブルに巻き込まれないように。複数人で行動すればまず問題ありません。

ハノイ旧市街も夜は若者や旅行者で賑わいますが、0時を過ぎると急に人通りが減ります。女性の一人歩きは24時までに留め、帰りはタクシーで宿まで帰る方が安心です。バー帰りに細い路地を一人歩いていたらスリに遭ったという例もあるので、人気のない通りは避けましょう。なお、深夜営業店はホーチミンの方が多く、ハノイは行政の指導で深夜は閉まる店が多いです。したがってホーチミンの方が夜型生活者が多く、夜中に出歩くならホーチミンの方がある意味人目があって安全とも言えます(その分スリ犯も活動しますが)。

危険エリアとしては、ホーチミンでは1区以外の郊外や、一部の繁華街でスリが多いとされます。具体的にはブイビエンの他、日本人街レタントン界隈でも抱きつきスリの報告がありました。これらも気を付けていれば避けられます。ハノイではホアンキエム湖周辺や旧市街でスリ・ひったくりが発生しています。また大使館が多いバーディン区は警備が厳しく治安良好ですが、逆に観光客は少なく夜は静かです。観光客密集エリアの方が警戒しつつも周囲に人がいる分、安全という面もあるので、夜出歩くなら大通り沿いを選んでください。

総合すると、夜間の治安はどちらも大差なく、自分次第というのが本音です。幸い私はホーチミン・ハノイ何度も訪問しましたが、怖い目に遭ったことはありません。しかし常に最低限の危機意識を持ち、周囲に注意を払い、人混みではリュックを前に抱える、暗い道を避けるなど基本を徹底していました。読者の皆さんも「日本ほど安全ではない」ことを念頭に、油断なく行動してください。それさえ守れば、東南アジアの中でもベトナムは比較的安全な国と言えます。

7.3 健康管理(暑熱・水・衛生・保険)

最後に健康面の注意です。ベトナム旅行ではまず暑さ対策が重要。特に5~10月のハノイ夏季や通年暑いホーチミンでは、熱中症に注意してください。屋外活動時は適宜日陰で休み、常温の水やスポーツドリンクでこまめに水分補給を。冷房の効いた室内との温度差も大きいので、体調を崩さないよう薄手の上着で調節しましょう。冬のハノイは10℃以下の日もあり風邪をひきやすいので、防寒具をお忘れなく。

水は水道水をそのまま飲んではいけません。ミネラルウォーターを購入するか、ホテル備え付けのボトル水を利用しましょう。氷も心配なら避けた方が無難ですが、都市部では大抵製氷業者の浄化氷なのでそこまで神経質になる必要はありません(丸くて大きな氷は工場製で安全、細かい砕けた氷は不安という説もあります)。生野菜やカットフルーツも、屋台のものは洗浄水の質が不明なので控えめに。胃腸薬は念のため持参しましょう。

蚊対策も必要です。デング熱がまれに流行することがあり、特に雨季は蚊が増えます。虫よけスプレーや長袖シャツで防蚊し、屋外では肌を露出しすぎない方が安心です。宿でも念のため虫よけをして寝ましょう。

もし体調が悪くなったら、大事を取って現地のクリニックに行くのも手です。ホーチミン・ハノイとも日本語対応可能な病院・クリニックがあります。医療水準は私立病院ならかなり高くなってきています。ただ費用は高額になる場合があるため、海外旅行保険には必ず加入してください。クレジットカード付帯保険でも良いですが、治療費キャッシュレス対応のある保険だと万一の際スムーズです。

また、移動時の交通事故にも注意です。車やバイクの往来が激しい道路を横切る時は本当に慎重に。ベトナムの交通事故率は高いので、無理せずタクシーを利用するのも賢明です。バイクタクシーに乗る場合はヘルメット着用を忘れずに(基本ドライバーがスペアを持っています)。

以上、身を守るポイントをまとめましたが、ベトナムは総じて「治安は良好だが日本ほど甘くない」国です。貴重品管理と体調管理をしっかりして、安全で楽しい旅にしてください。

8. 物価・旅行費用

ここでは旅費・物価の総合的な話をします。食費や交通費など各項目については前述の通り日本より断然安いベトナムですが、実際旅行全体ではいくら予算を見ておくべきか気になりますよね。現地通貨ドンの扱いや両替、支払い方法についても押さえつつ、モデルプランごとの費用感を解説します。

8.1 食費・交通費・観光費のコストレンジ

食費: すでに触れましたが、ローカル食はとても安く、1食あたり200~600円でお腹いっぱいになります。屋台軽食なら100円台、レストランでも1,000円前後と、日本の3分の1程度で済みます。ただし旅行者向けのおしゃれレストランやバーに行くと2,000~3,000円することもあり、この辺りは日本とあまり変わらない感覚になるでしょう。現地ビールは安く、店で1本100~150円程度、屋台ならもっと安いです。全体として、食費は節約しようと思えば一日1,500円以下にもできますし、贅沢すれば上限は切りなしです。2泊3日で食事全部ローカルなら3,000円程度~、各1回ずつ高級店も入れれば1万円程度が目安でしょう。

交通費: 市内移動の交通費も微々たるものです。タクシーは短距離数百円、中距離でも500~600円程度。Grabバイクならさらに安く、1回数十円~数百円です。2泊3日の旅行で観光移動にタクシー10回使っても3,000円程度にしかなりません。バスや電車はもっと安く、例えばホーチミンの市バスは1回20~40円程度です。都市間の移動(今回は関係ありませんが)も寝台バスや鉄道が安いです。観光旅行では、空港送迎や郊外ツアーなどを除けば、市内交通費は全日程で数千円もかからないでしょう。

観光費: 名所の入場料やツアー代などです。主要観光地の入場料は2~5万ドン(120~300円)程度が多いです。例えばホーチミン統一会堂4万ドン、戦争証跡博物館4万ドン、ハノイ文廟3万ドン、玉山祠3万ドン、といった具合です。水上人形劇も劇場によりますが10万ドン前後(600円)で鑑賞できます。有料観光地を全部回っても数千円程度なので、ここは気にしなくてOKでしょう。むしろ大きな出費になるのはオプショナルツアーで、ハロン湾日帰りが1人あたり5,000~8,000円、メコン川ツアーが3,000~5,000円、クチトンネルが2,000円前後などです(昼食込みの場合が多い)。これらは予算と時間に合わせて取捨選択しましょう。なおお土産代も人によりますが、ベトナムコーヒー200gで500円前後、刺繍ポーチ1つ300円など安価で、つい買いすぎると荷物が増えるのでご注意を。

8.2 為替と予算設計(現金・カード・両替)

通貨はベトナムドン(VND)。1円=約160~170ドン前後(2025年時点)で推移しています。桁が大きく計算が大変ですが、「金額×0.006」でおおよその円換算ができます。例えば10万ドンなら約600円、50万ドンで約3,000円です。慣れないうちは6を掛けて000を取ると覚えておきましょう(100,000ドン→100×6=600円、1,000,000ドン→1,000×6=6,000円)。札束なので財布が膨らみますが、混同しやすい札(例:20,000ドン札と500,000ドン札は色が似ている)を間違えないように注意。支払いの際、一桁間違えると大損なので、ゼロの数をしっかり数えるクセをつけてください。

両替: 日本でドンを手に入れるのは難しいため、到着後に空港か市内で両替するのが一般的です。空港のレートはそこそこ良いですが、手数料が含まれるので、市内の両替所の方が若干有利なことが多いです。ホーチミンでは「Hung Long」や「Ha Tam Jewelry」等、有名な両替店があり安全に高レートで替えられると人気です。ハノイでも旧市街に両替ショップが点在します。ホテルでも両替できますがレートは少し悪め。米ドル現金をお持ちならベトナムでは歓迎され、両替所で円より良いレートになることもあります。ただ日本円も普通に両替可能なので、こだわる必要はありません。

クレジットカード: ホーチミン・ハノイの大きな店やレストラン、ホテルではVISA/Masterカードが使えます。JCBは日系店でたまに対応、銀聯カードも中華系店で使える場合があります。キャッシュレス化は進みつつありますが、まだまだ現金主義です。市場・屋台・タクシーなどは現金のみですし、小さな食堂でもカード不可がほとんど。従ってある程度の現金は常に所持しましょう。高額紙幣(50万ドン札など)しかないとお釣りが足りないと言われる場合もあるので、小額紙幣を多めに持つことがポイントです(買い物して崩しておくなど工夫しましょう)。

ATM: ベトナムはATMが至る所にあり、国際キャッシュカードやクレジットカードで現地通貨を引き出せます。手数料が2~3万ドン+日本側銀行手数料がかかりますが、必要な時に必要な額だけ下ろせるので便利です。ただ、一度に下ろせる上限が200万~300万ドン(約12,000~18,000円)程度と低めだったり、ATMによっては手数料が割高な場合もあります。おすすめは大手銀行のATMで、TechcombankやVietcombankなどは比較的良心的です。深夜にATM利用する際は周囲に十分注意し、暗い路地のATMブースは避けてください。

予算設計: 以上を踏まえ、旅全体の予算をざっくり計算すると、例えば2泊3日(現地2日観光)なら一人当たり約7~10万円が目安とされています。内訳は航空券が往復4~6万円、ホテル2泊8,000円~、現地食事交通観光費2万円程度で、合計8~10万円といったところです。節約旅行ならLCC利用・格安宿泊で5~7万円も可能でしょう。3泊4日なら9~13万円(標準的な旅行)、4泊5日で11~15万円が目安です。もちろんホテルを高級にすれば一気に跳ね上がりますし、逆にバックパッカー式なら総額5万円以下も夢ではありません。長期旅行になるほど物価安の恩恵で一日当たり費用は下がりますが、最初の航空券代が大きいので、ある程度の日数以上なら複数都市巡りも検討したいですね。

最後に、現地通貨の扱いにもう一つ注意点。ベトナムでは偽札が出回ることもあり、特に高額紙幣(50万ドン札)の受け取り時は透かしを確認すると良いです。旅行者が偽札を掴まされることは滅多にありませんが、念のため覚えておいてください。帰国時、ドン紙幣は日本で再両替できない場合が多いので、余らないよう空港で最後にお土産購入に使うか、USDなどに再両替しておきましょう。

8.3 2泊3日/3泊4日モデルの総費用シミュレーション

ではモデルプランごとの総費用をシミュレーションしてみます。まず基本前提として、一人旅・経済クラス航空券利用のケースで算出します。

  • 2泊3日(週末利用)の場合: 航空券往復40,000円~、ホテル2泊8,000円~、食事9,000円~、交通費3,000円~、観光・アクティビティ5,000円~、通信SIM/Wi-Fi 1,000円~、旅行保険1,500円~。合計約67,500円~が目安となります。これは節約気味に見積もった下限で、実際はお土産代や予備費を含めもう少し余裕を持ち、7~10万円程度準備すれば安心でしょう。
  • 3泊4日(定番の所要)の場合: 航空券40,000円~(時期によってはもう少し高め)、ホテル3泊12,000円~、食事12,000円~、交通5,000円~、観光8,000円~(ハロン湾ツアー等を入れた想定)、通信1,500円~、保険1,500円~。合計およそ80,000円~となります。標準的な旅行では13万~18万円程度かかったというデータもあり、こちらはホテルや食事をグレードアップした場合の想定です。実際、5つ星ホテルや高級ディナーを盛り込めば軽く20万円超えもあり得ます。逆に格安に振れば3泊でも10万円以内で収まるケースもあるので、旅行スタイル次第です。

上記には含めませんでしたが、お土産購入費やビザ代(日本人は15日以内無査証滞在可なので不要な場合が多い)など個人差の出る費用も考慮してください。ベトナムの物価は安いため、現地での使いすぎよりも、どちらかと言えば航空券代が旅費の大きな部分を占めます。従って「せっかく行くならもう数日伸ばして別都市も」となる人も多いわけです(最近ではハノイ&ダナン、ホーチミン&アンコールワット等の組み合わせも人気)。ですが本記事のテーマはハノイvsホーチミン比較。予算内でより満足度高い旅行にするには、自分が惹かれる街を選ぶのが一番です。次章では季節要因も踏まえてどちらに行くべきか検討しましょう。

9. 気候・ベストシーズン

旅行先を決める際、気候やシーズンも重要です。北部ハノイと南部ホーチミンは気候区分が異なり、最適な訪問時期や服装も変わってきます。ここではそれぞれの季節ごとの特徴と旅行のベストシーズン、さらに現地祝祭日や連休時の状況について解説します。

9.1 北部(ハノイ)の四季と服装

ハノイは温帯モンスーン気候で、日本のように四季があります。大きく分けると暑季(夏)涼季(冬)ですが、春秋も存在します。

  • 夏(5月~9月): 非常に暑く湿度も高いです。特に6~8月は平均気温30℃超、最高40℃に達する猛暑日もあります。さらに雨季に当たり、スコールが頻繁に降ります。従って6~8月はハノイ旅行には向かないという意見も多いです。服装は半袖半ズボンでOKですが、冷房が強い室内では羽織るものがあると良いでしょう。日中は日傘・帽子と飲み物必携です。ゲリラ豪雨に備えて折り畳み傘やレインコートも忘れずに。
  • 秋(9月~11月): 暑さが次第に和らぎ、平均気温25~30℃ほど、湿度も下がり晴天が増えます。ハノイの秋はベストシーズンと言われ、街路樹の葉が色づき金木犀の香りが漂う風情ある季節です。服装はまだ夏服で構いませんが、朝晩は少し涼しく感じる日もあるので薄手の長袖が一枚あれば安心です。10月末~11月には軽い上着が欲しくなるかもしれません。旅行者に人気の季節でホテル代も上がりがちですが、それでも行く価値ありの気候です。
  • 冬(12月~2月): 北部の冬は意外と寒いです。平均気温15℃前後ですが、寒波時には5℃台まで下がります。空はどんより曇り、細かな雨が降ることも多く、肌寒さが身に染みます。防寒の備えが無いとかなり辛いので、フリースや薄手ダウンなど冬服を持参してください。地元民はダウンコートを着るほどです。また大気汚染が冬季は悪化する傾向にあり、必要ならマスクを着用しましょう。とはいえ日本の真冬よりはマシで、観光に支障はありません。旧正月(1~2月)は冷えるものの、お祝いムードの中で旅行するのも一興です(ただしテト期間は休業施設多数なので注意)。
  • 春(3月~4月): 気温が徐々に上がり20℃台に。3月はまだ肌寒い日もあり長袖が必要、4月には半袖で快適な陽気になります。雨も少なく過ごしやすいため、4月はハノイ旅行のベストとの声もあります。日本のゴールデンウィーク頃には真夏日になることもあるため、暑さが苦手な人はGW直前の4月中旬までが理想でしょう。春は新芽と花の季節で、藤棚や蘭の花が楽しめます。

総じて、ハノイのベストシーズンは10~11月&3~4月です。逆に避けるべきは蒸し暑い夏(特に6~8月)と大混雑のテト(旧正月)時期。冬は寒いですが景色が綺麗で食べ物も美味しい季節です。服装は季節に応じ、日本の東京あたりと同じ感覚で用意すると良いでしょう。

9.2 南部(ホーチミン)の乾季・雨季と服装

ホーチミン市は熱帯サバナ気候で、1年中暑いものの季節は雨季と乾季の2つに大別されます。

  • 乾季(11月~4月): 雨が少なく晴れの日が続きます。気温は高いですが(平均28℃、日中35℃近く)湿度が低めで、日本の夏ほど蒸し暑くは感じません。特に12~2月は“涼季”とも呼ばれ、朝晩は25℃以下まで下がり過ごしやすいです。日中は日差しが強烈なので日焼け対策だけは必須ですが、観光にはベストなシーズンでしょう。服装は基本半袖短パンでOK、冷房対策に薄手上着を携行してください。乾季後半(3~4月)は雨が全く降らず、暑さがピークになります。この時期は紫外線が非常に強いのでサングラス・日焼け止めは忘れずに。4月末になると徐々に雨が増え始めます。
  • 雨季(5月~10月): 一転して雨が多い季節です。といっても一日中降ることは稀で、ほとんどが午後のスコールです。短時間にバケツをひっくり返したような雨が降り、道路が冠水することもあります。雨宿りしていれば1時間ほどで止むことが多いです。雨季は気温も若干下がり、平均26~27℃くらい。ただ湿度が高いのでムシムシします。服装は基本夏服でいいですが、突然の豪雨でびしょ濡れになる恐れがあるので、乾きやすい素材が望ましいでしょう。雨合羽や折り畳み傘も常備すると安心です。蚊が増えるのもこの時期で、デング熱が散発的に発生することも。虫よけで対策を。なお雨季の旅行は敬遠されがちですが、雨季は航空券やホテルが安くなるメリットもあります。また観光中でも室内施設やグルメに時間を充てれば十分満喫できます。

結論として、ホーチミン市のベストシーズンは11~2月の乾季です。特に年末年始は雨が少なく快適ですが、その分航空券も高く混雑します。逆に雨季(6月や9~11月)は安く行ける穴場シーズンとなります。雨はあるものの一日中ではないため、旅行自体は十分可能です。私は雨季のホーチミンも訪れましたが、毎日降るわけでもなく、スコールが夕立程度でした。むしろ暑さが少し和らぎ過ごしやすかった印象です。

服装は基本的に通年夏服+軽い長袖。室内の冷房が強力なので、女性は羽織るものを持ち歩いた方が良いです。男性もレストランで冷えたという話も聞くので、薄手の上着があると重宝します。日焼け止め・帽子・サングラスは年中必携。あと現地の人は日差しを嫌い肌を隠すので、露出の高い服装(タンクトップ+短パンなど)は観光客丸出しになります。盗難対策も考え、肌はそこそこ隠れる服が安心かもしれません。

9.3 祝祭日・連休の混雑と価格上昇の傾向

ベトナム側の大型連休として最重要なのがテト(旧正月)です。毎年1月末~2月上旬頃の新月に当たり、その前後1週間程度が休暇となります。国民の多くが帰省や旅行に出かけ、観光地も国内客で混雑します。さらに多くの店や博物館などが休業するため、テト期間の旅行は非日常的な体験になります。市場が閉まり街が閑散とする一方、花市やテト飾りで彩られた街を見ることもできます。ただしホテル代や航空券は急騰し、事前予約が必須です。初めてのベトナム旅行ならテトは避けるのが無難でしょう。

日本の連休(ゴールデンウィーク・お盆・年末年始)も、当然ながら航空券が高騰します。ハノイ・ホーチミン行きの直行便も満席になりやすく、早期予約が必要です。現地自体はこれら時期でも基本通常営業ですが、GWはベトナムも4/30(南部解放記念日)と5/1(メーデー)が連休になるので、旅行先によっては混むかもしれません。特に4/30~5/3は国内観光客が多く移動する時期で、ハロン湾などはツアーが取りにくくなったりします。お盆(8月)は日本人旅行者が多いですが、ベトナム側は通常営業なのでお店は開いています。年末年始は日本人観光がピークですが、ベトナムは特に祝日ではありません。ただクリスマス~新年にかけて欧米人観光客で賑わうため、繁華街は混み合います。欧米冬休みシーズンでホテル代も上がりますので、こちらも早めの手配を推奨します。

その他、ベトナムの祝祭日では、9月2日の「建国記念日」(独立記念日)や4月30日の「ベトナム戦勝記念日」前後は国内旅行が活発です。2025年現在、9/2がちょうど旧盆近くと重なり、夏休み終盤で旅行者が増える傾向があります。また5月19日のホーチミン主席誕生日や、11月の教師の日などは主に国内行事なので旅行には影響少ないです。外国人旅行者に影響するイベントとして、11月末~12月にハノイでビエンナーレ(芸術祭)やフォーミュラEレースなど国際イベントが開催されることがあり、ホテルが取りにくくなるケースもありました。大規模国際会議(APEC等)があると警備で不便な場合もあるので、ニュースをチェックすると良いでしょう。

結論として、ピークを避けオフピークに行けば安くて快適、しかしご自身の休暇との兼ね合いもあるので難しいところですね。お盆しか休めない場合は、割高でもその時期に行くしかありません。その場合は早期予約と旅程計画を綿密にし、ピークでも快適に回れるよう工夫しましょう。例えばGWのハロン湾は混むので代わりにニンビンにするとか、年末年始のホーチミンは人出が多いから夜は郊外のディナークルーズでゆったり過ごす等、工夫次第です。

どちらの街も年間を通じて楽しめますが、気候重視なら冬~春の乾季がベターです。ぜひベストシーズンを狙って、ハノイまたはホーチミンを満喫してください。

10. 写真・動画スポットと撮影のコツ

旅の思い出づくりに写真や動画は欠かせません。ハノイとホーチミン、それぞれでおすすめのフォトスポットや映像映えするロケーションを紹介し、昼夜や季節による撮り分けのポイント、ドローン撮影の注意点についても触れます。せっかくの旅行、SNS映えする一枚や自分だけの絶景をカメラに収めましょう。

10.1 定番・穴場ロケーション

ハノイのフォトジェニックスポット

  • 旧市街の街並みと路地: 色とりどりのフランス風建物が連なるマ・マイ通りや、提灯が吊るされた夕暮れの旧市街は絵になります。特に夕焼け空と黄土色の古民家のコントラストが美しい瞬間を狙いましょう。ホアンキエム湖畔では早朝の朝靄と水鏡も幻想的です。
  • 鉄道街(トレインストリート): 住宅すれすれに列車が走る光景が有名な場所。カフェから列車通過を狙う写真は迫力満点ですが、安全上政府が立ち入りを制限しています。現状観光客はカフェ利用者のみ許可と言われますが、事故に注意し無理は禁物です。
  • ロングビエン橋: フランス統治時代の鉄橋で、市民の生活風景と共に撮影できます。特に夕暮れ時、赤錆びた鉄橋とオレンジの空がドラマチック。橋の歩道からバイクと列車の両方が通る瞬間を狙うのも面白いでしょう。
  • 壁画ストリート(フンフン通り): アーチ型高架下に歴史絵巻のような壁画がズラリ。周囲の雑多な市場の様子と合わせて撮ると、昔と今のコントラストある一枚が残せます。
  • 聖ヨセフ大聖堂: ゴシック様式の教会は昼も荘厳ですが、朝日や夕日に照らされる時間帯が特に綺麗です。周辺のカフェ2階席から全景を撮るのも人気。

ホーチミン市のフォトジェニックスポット

  • 中央郵便局&聖マリア大聖堂: コロニアル建築の代表で、ペールイエローの郵便局と赤煉瓦の聖堂、隣接する公園の風景が調和した写真が撮れます。朝は逆光なので午後以降がおすすめ。
  • グエンフエ歩行通り: 夜はビル群のライトアップと市民の歓談風景が撮れます。旧市庁舎(人民委員会庁舎)のライトアップを背景に、手前に人々のシルエットを入れると雰囲気ある写真に。
  • ビテクスコ・フィナンシャルタワー展望台: 49階スカイデッキから市街地360°が見渡せ、夕景~夜景の撮影ポイントです。ガラス越しになるため映り込みに注意しつつ、三脚は禁止なのでISOや露出調整で対応しましょう。
  • ブイビエン通り(バックパッカー街): ネオン看板と人混みがカオスな夜の街を動画に収めると活気が伝わります。写真ならスローシャッターで人の流れをブラすとアートになります。ただし機材の盗難に注意して撮影を。
  • チョロン(ビンタイ市場周辺): 中華街の雑踏、市場内のカラフルな商品山積み風景などはエキゾチックな被写体です。またティエンハウ寺では天井から吊るされた渦巻き線香越しに参拝者を入れた写真が撮れ、神秘的です。

10.2 昼夜・雨季乾季での撮り分け

昼と夜では被写体の表情が変わります。ハノイ旧市街は昼間は生活感ある写真(市場、商店、バイク渋滞など)を、夜は街灯や提灯が灯るノスタルジックな風景を撮れます。ホーチミンの夜景はビルのイルミネーションが映えるので、夜遅くに出歩ける範囲で積極的に狙いましょう。例えばサイゴン川沿いから撮るスカイライン夜景や、市民劇場前のライトアップされた街並みなど。

雨季と乾季では空模様や街の雰囲気が違います。雨季はスコール後の水溜りの反射を利用すると面白い写真が撮れます。水たまり越しにランドマークを写し込んだり、路面反射のネオンを撮ったりというテクニックです。また雨粒越しの窓から外を撮るとエモーショナルな絵になります。乾季は逆に澄んだ青空がご馳走。ハノイの秋空やホーチミンの乾いた雲ひとつない空はそれだけで写真映えします。空を大きく入れて撮る構図を試しましょう。湿度が低い冬場は遠景もクリアに見えるので、展望台からの都市全景撮影に適しています(ホーチミンのランドマーク81展望台など)。

時間帯では、ぜひ日の出・日の入りのゴールデンアワーを活用してください。早朝6時前後、ハノイの湖やホーチミンの街並みが柔らかな光に包まれます。夕方は17~18時頃、特にホーチミンは高層ビル群越しの夕焼けがきれいです。トワイライトタイムには空が深い藍色に染まり、街の灯りが点き始める「マジックアワー」での撮影もおすすめです。

10.3 ドローン・撮影マナーの留意点

近年、旅先でドローン撮影を楽しむ人もいますが、ベトナムでは規制が厳しいので注意が必要です。100g以上のドローンはすべて国防省への事前許可が必要で、飛行予定日の7~14営業日前までにオンライン申請し、許可証取得が義務付けられています。外国人観光客も例外ではなく、無許可飛行は最高で2,000万~3,000万ドン(約12~18万円)の罰金と機材没収の対象です。また2025年7月からは操縦者登録制度も導入され、より管理が強化されます。

特に都市部(ハノイ・ホーチミン)は軍事施設や政府機関が多く、飛行禁止エリアに指定されています。例えばホーチミン中心部やハノイ旧市街上空で飛ばすことは事実上不可能と思ってください。以前ホーチミンで無許可ドローン飛行した外国人が当局に拘束された例もあります。申請すれば必ずしも許可が下りるわけでもなく、手続きも煩雑です。短期旅行者が気軽に飛ばせる環境ではありません。

従って、基本的にドローンは持って行かない方が無難です。どうしてもという場合、観光客向けにドローン撮影ツアーなどを組む現地会社に相談する手もあります。飛ばすなら都市部を離れたエリア(例えばハロン湾クルーズ中に船上から飛ばす等)で、かつ事前許可を取得して行ってください。また無許可で飛ばして事故を起こせば、相手への賠償は全額自己責任となります。人通りのない所でも、突然子供が近づいてプロペラで怪我…なんてことも。安全と法令遵守を第一に判断しましょう。

最後に一般的な撮影マナーも。ベトナムでは基本的に公共の場所での撮影は自由ですが、被写体になる人に配慮するのはマナーです。市場で勝手に人の顔を大写しに撮るのは嫌がられるかもしれません。笑顔でカメラを指して「chụp ảnh nhé?(チュップ アイン ニェ:写真いいですか?)」と尋ねるとOKしてくれることが多いです。軍事関連施設は撮影禁止ですし、飛行場なども控えましょう。博物館や寺院内はフラッシュ禁止の所もあります。ドローン以外はそこまで神経質にならずともいいですが、他人と公共への配慮は常に忘れずに撮影を楽しんでください。

11. テーマ別モデルルート

ここからは、旅行の目的・テーマに合わせたモデルコースを提案します。「歴史×カフェ巡り」「グルメ×市場×ナイトライフ」「世界遺産・クルーズ拡張プラン」など、限られた日程でも満足度高く過ごせるルートを考えてみましょう。2泊3日程度を想定していますが、日数に応じアレンジ可能です。

11.1 歴史×カフェ巡り(ハノイ2泊3日)

1日目: 午前、ハノイ着。旧市街のホテルにチェックイン後、早速旧市街散策へ。ホアンキエム湖周辺を歩いて玉山祠を参拝し、ハノイ大教会(聖ヨセフ大聖堂)へ。大教会近くの老舗カフェ「Cafe Giảng」でエッグコーヒーを味わいひと休み。午後はハノイ歴史博物館やホアロー収容所博物館を見学し、ベトナムの歴史背景に触れます。夕方、人気カフェ「ザンカフェ36通り店」のテラス席から旧市街を見下ろしながら、夕暮れ撮影タイム。夜は水上人形劇を鑑賞し、近くのフォー専門店で夕食。

2日目: 午前、貸切タクシーでバーディン広場へ移動し、ホーチミン廟・高架旗台・文廟など歴史スポットを巡ります。近隣のフレンチコロニアル建築カフェ「Cong Caphe」でベトナムコーヒーを。また、時間があればベトナム民族学博物館で54民族の文化展示も見学。午後、タンロン皇城遺跡と近くのCộngカフェで昔風コーヒーを。夕方、旧市街のクラフト雑貨店を冷やかしつつ散策。夜はターヒエン通りでビアホイ(生ビール)とブンチャーのローカルディナー。その後バーでジャズライブ鑑賞も良いでしょう。

3日目: 朝、ホテル近くのフォー有名店「フォーティン」で朝食。その後、ハノイ陶器村バッチャンに半日ツアーで出かけ、陶芸体験やお土産ショッピング。午後、ハノイ発のフライトに合わせ空港へ。(延泊できれば3日目はハロン湾日帰りを組み込むのも◎)

11.2 グルメ×市場×ナイト(ホーチミン2泊3日)

1日目: 午前ホーチミン着。1区ドンコイ通りエリアのホテルへ。早速、ベンタイン市場へ向かい、市場内のローカルフードコーナーでバインセオやゴイクオン(生春巻)を食べ歩きランチ。午後、クチトンネル半日ツアーに参加。17時頃戻り、ホテルで休憩後、夜はグエンフエ通り周辺を散策。夕食は屋台街「ブンチャータウ」で海鮮バーベキューを満喫。その後、ルーフトップバー(EON51など)で夜景を楽しみながらカクテルを一杯。

2日目: 午前、サイゴン川メコンデルタ日帰りツアー(ミトー方面)に参加し、ボートクルーズ・フルーツ園訪問など。夕方戻ったら、急いでサイゴンスカイデッキ(ビテクスコタワー)へ上り夕景撮影。夜はバックパッカー街ブイビエンへ繰り出し、にぎやかなバーで海外旅行者たちと談笑。好みによって、Bui Vienのクラブで音楽に身を委ねるのも良し、もしくは落ち着いた日本人街レタントンで日本食やスナックに浸るのも有り。

3日目: 朝、地元で人気のカフェ巡りへ。「The Workshop」で本格コーヒー、「Han Thuyen」は郷愁漂うカフェ飯朝食を。11時頃ホテルチェックアウトし、最後にチョロン(ビンタイ市場)へ足を伸ばして雑貨購入。チャイナタウンの下町グルメで締めの昼食(牛肉入りヌードル「フーティウ」を)。午後空港へ移動、帰国の途に。(夜遊び重視なら2日目午前は市内観光にして夜にメコン川ディナークルーズを入れる手も)

11.3 世界遺産・クルーズ拡張(3泊4日アレンジ)

プランA: ハノイ&ハロン湾3泊4日 – 2泊ハノイ市内観光+1泊はハロン湾船上泊クルーズに充てます。
Day1: ハノイ着・市内観光(旧市街・水上人形劇)。
Day2: ハノイ郊外観光(ニンビン省チャンアン日帰りツアーなど)。
Day3: 朝ハロン湾へ移動、クルーズ船に乗船。午後~翌朝までカヤックや鍾乳洞探検、船上カクテルなど贅沢時間。
Day4: 午前下船し、ハノイへ戻り夕方の便で帰国。
これで世界遺産ハロン湾をじっくり堪能でき、ハノイ観光も抑えた充実コースです。

プランB: ホーチミン&アンコールワット3泊4日 – ホーチミン2泊+カンボジア・シェムリアップ1泊(アンコール遺跡観光)。
Day1: ホーチミン着・市内観光(統一会堂・戦跡博物館・聖堂郵便局)。
Day2: 朝ホーチミン発シェムリアップ行きフライト(約1.5時間)。午後アンコール遺跡群を専用車で巡る。夕方アンコールワットでサンセット撮影。
Day3: 早朝アンコールワット朝日鑑賞→午前シェムリアップ発ホーチミン戻り。夜はホーチミンでナイトスポット巡り(ブイビエン通り)。
Day4: ホーチミン発帰国。
ベトナム・カンボジア2国の見所を1度に訪れる欲張り案です。アンコールワットは別途ビザ取得必要ですが、日本から行くより現地発着の方が効率的で人気のプランです。

プランC: ホーチミン&周辺リゾート3泊4日 – ホーチミン2泊+美しい田舎orビーチ1泊。例えばメコンデルタのカントーで水上マーケット見学や、フーコック島やムイネーなど南部ビーチで1泊してのんびり。
Day1: ホーチミン着・市内観光。
Day2: 午前ホーチミン→フーコック島へ飛行機移動。午後ビーチ遊び。夜はシーフードBBQ。
Day3: 午前フーコック島観光(島内ドライブやシュノーケリング)。夕方便でホーチミン帰着。
Day4: ホーチミン発帰国。
ホーチミン近郊で自然やリゾートも味わいたい方向けです。

これらモデルルートは一例ですが、北は歴史と世界遺産、南は都会と異文化といった要素をミックスすることで旅の幅が広がります。日程や予算に応じ、自分だけのオリジナルプランを組んでみてください。

12. 旅スタイル別「どっち向き?」診断

最後に、読者の皆さんの旅のスタイル・嗜好に合わせて「ハノイ向きorホーチミン向き」を診断します。それぞれの街が向いている旅行者タイプを整理しますので、当てはまる項目が多い方を選ぶと満足度が高いでしょう。

12.1 街歩き・歴史・クラフトを楽しみたい人

歴史散策や伝統文化体験が好きな人には断然ハノイがおすすめです。ハノイは千年の都だけあって、旧市街の古い町並みや歴史的名所が豊富で、歩くだけで東洋と西洋が交錯するノスタルジーを味わえます。「古き良き町並みをカメラに収めたい」「世界遺産をじっくり巡りたい」「手工芸品の職人街を訪れてみたい」という方はハノイがピッタリです。逆に近代的な都会は興味ないという方もホーチミンよりハノイが落ち着いているでしょう。例えば、寺院・伝統芸能・雑貨ショッピングなどが旅の目的なら、ハノイでの満足度が高いです。

DIY・クラフト体験をしたい場合もハノイ側に分があります。陶器村バッチャンでの絵付け体験や、ドンスアン市場での生地選び→仕立て服作成など、伝統クラフトが身近です。ホーチミンでもチャイナタウンの手芸問屋街などありますが、雰囲気としてはハノイの方が「職人の町」感が味わえるでしょう。

また自然と歴史を一度に楽しみたい人もハノイ寄りです。ハノイ郊外のハロン湾・チャンアンといったダイナミックな景勝地は大自然+歴史ロマンがあり、歴史好きのアウトドア派には堪らないでしょう。ホーチミン周辺だとメコンツアーなどがありますが、やはり規模は北部の勝ちです。

まとめると、「昔ながらの東南アジアの空気を味わいたい」「博物館や遺跡巡りが好き」「旅情ある街角の写真を撮りたい」といった方はハノイでの体験が期待を裏切りません。

12.2 カフェ文化・ナイトライフ・都市速度を味わいたい人

最新トレンドのカフェ巡りやナイトスポットを求める方にはホーチミン市が断然向いています。ホーチミンは経済都市として発展著しく、ファッションやグルメの流行発信地です。例えばお洒落なルーフトップバーで夜景を見ながらカクテルを楽しんだり、個性的なコンセプトカフェ(テーマカフェ)が林立する環境はハノイよりホーチミンが充実しています。女子旅やカップルでスパ・ショッピング・グルメを堪能するには、ホーチミンがベターとの意見もあります。

夜の街をワイワイ楽しみたい方もホーチミンでしょう。クラブ、ライブバー、多国籍な旅行者が集まるバックパッカー街と、夜遊びの選択肢が豊富です。ハノイは夜が早めに終わってしまうので、物足りないと感じるかもしれません。エネルギッシュな都市の熱気に身を置きたい人、例えば「バンコクの都会的な賑やかさが好きだった」という人はホーチミン市が合うでしょう。

英語が通じやすい環境を重視する人もホーチミンです。観光客慣れしたホーチミンは初心者でも安心との声があり、片言英語でも乗り切りやすいです。ハノイは少し内向的でベトナム語中心の場所も多く、コミュニケーションにチャレンジ精神が要るかも。海外旅行初心者や女性一人旅で不安という場合も、ホーチミンの方が気楽でしょう。

さらに南国の気候を求めるならホーチミンです。冬でも暖かく「一年中夏」の南国らしい雰囲気を味わえます。寒いのが苦手な人や、旅中はずっとTシャツ短パンでいたい人にはホーチミンが快適です。ハノイの冬はコートが要るので、南国リゾート感は薄れます。

まとめると、「流行スポット巡りやショッピングが好き」「夜も遊び尽くしたい」「都会の利便性とスピード感を楽しみたい」といった方はホーチミン市がピッタリでしょう。特に20~30代で刺激的な旅を求める人にはホーチミンが人気です。

12.3 コスパ重視/短期弾丸/長期ワーケーションの観点

最後にその他の観点で比較します。

コストパフォーマンス重視なら、実はハノイが若干有利かもしれません。というのも、航空券が大差ない場合、現地物価はホーチミンがやや高め、特に宿泊費はホーチミンの方が若干高止まりする傾向があります。また観光内容的に、ハノイは無料で街歩きを楽しめる範囲が広いですが、ホーチミンは何かとお金を使う誘惑(買い物・高級店・夜遊び)が多いです。もちろん本人の過ごし方次第ですが、「できるだけ安く現地体験したい」というバックパッカー的視点だと、ハノイは安宿・屋台飯・路地散策だけで満足度高く過ごせます。ホーチミンは誘惑が多く、気づいたら予算オーバーなんてことも。またハノイは物価がやや安く、地元向け食堂なら3万ドン(約180円)から定食があり、ビールも一杯50円程度の「ビアホイ」があります。ホーチミンではそこまでの安さにはなりません。このように超節約旅にはハノイが向いていると言えます。

短期弾丸旅行(週末2日や3日)で考えると、アクセスと見どころ集中度からホーチミンが便利です。例えば土日2日しかない場合、ホーチミンは市内中心が空港から近く(車20分)、着いてすぐ観光を開始できます。主要スポットが徒歩圏に集中し効率よく回れます。逆にハノイは空港から市内まで1時間かかり、旧市街と郊外各所の見どころが分散しているので、2日間では駆け足になるかもしれません。日帰り郊外観光を入れる余裕も無いでしょう。従って弾丸で行くならホーチミンがオススメです。観光地密度が高く、短時間でも「ベトナム旅行した感」を得やすいです。

長期滞在・ワーケーションなら、これは好みが分かれるところです。ホーチミンは都会なので生活面の利便性は高く、日本料理店や大型スーパーも多く、外国人コミュニティも充実しています。デジタルノマド向けのコワーキングスペースも多数あり、長期滞在者には過ごしやすい環境です。娯楽やイベントも多彩で退屈しません。一方ハノイは生活ペースがゆっくりで、穏やかな環境が好きな人には落ち着くでしょう。四季があるので、暑熱・寒さ両方経験しますが、逆に季節感を楽しめます。自然に近いワーケーションならハノイからニンビン等郊外でテレワークするという選択肢も考えられます。物価はハノイが若干安いので家賃など抑えられる利点もあります。総じて、都会の快適さ重視ならホーチミン長期滞在、静かな環境重視ならハノイ長期滞在という感じでしょう。

おさらいすると、ハノイおすすめタイプ: 歴史・伝統好き、フォトジェニック散策派、安上がり旅派、ゆったり過ごしたい人。 ホーチミンおすすめタイプ: 都会の刺激好き、グルメ・ショッピング派、夜遊び派、短期で効率重視、初心者。 もちろんどちらも魅力的なので、本当は両方行ってほしいですが、まず一つ選ぶなら以上を参考にしてみてください。

13. 目的別・総合比較表

最後に、これまでの比較ポイントを一覧表でまとめます。それぞれの項目について、ハノイとホーチミンの特色を端的に評価しました。ご自身の重視ポイントがどちらに当てはまるかチェックしてみましょう。

13.1 ハノイ vs ホーチミン 比較一覧

項目ハノイ
(北部の古都)
ホーチミン市
(南部の大都市)
気候・季節四季あり。冬は涼しく乾燥、夏は蒸し暑く雨が多い。秋春が快適年中暑く雨季・乾季に分かれる。常夏の南国気候。雨季も短時間スコール
街の雰囲気東アジア的で落ち着いた古都。伝統重視で静かめ東南アジア的でにぎやかな商都。活気とスピード感あふれる
初心者向け度やや上級者向け。英語通じにくく案内少なめ★初心者でも安心★。空港近・英語OKで行動しやすい
人柄・接し方北部系:控えめで保守的、家庭的とも南部系:明るく社交的でオープン
街のスタイル千年の歴史あり。古い建物や職人街が多い高層ビルと市場が共存する近代都市
観光地の密度点在型。旧市街以外は移動が必要集中型。主要スポットが徒歩圏に集まる
観光の目玉世界遺産ハロン湾・古都散策・伝統芸能戦争史跡・メコン川クルーズ・ナイトスポット
食文化さっぱり出汁系。薄味で素材の味重視(例:ブンチャー)甘め濃いめ。砂糖&ハーブ多用(例:バインセオ)
グルメの多様性地元料理中心。北部名物多数だが国際食少なめ★多国籍で種類豊富★。世界各国料理を楽しめる
カフェ文化老舗や隠れ家カフェが点在。伝統的(エッグコーヒー発祥)チェーン含め多数。モダンでSNS映えする店多し
語学対応ベトナム語中心、英語通じにくい。日本語もほぼ不可英語通じやすい(観光客慣れ)。日本語も一部ホテルでOK
移動容易度タクシー&Grab必須。渋滞もあるが街小さめで安価中心部徒歩移動可。Grab普及で渋滞も回避可
治安(軽犯罪)比較的良好だがスリ等あり要注意やや注意(特にひったくり多発)
物価(旅行費用)★若干安い★(食事・宿ともに同クラスなら僅かに低廉)やや高い(首都圏より安いが地方より高め)。サービス多く散財注意
航空アクセス日本から直行便あり(成田/関空他~)日本から直行便あり(成田/羽田/関空他~)
総評歴史と伝統:古き良き町歩き◎。ゆったり旅向き活気と近代:街のエネルギー◎。初回ベトナムならこちら

上の表からも分かる通り、それぞれ一長一短があります。もちろん最終的には好みですので、「世界遺産や歴史散策を優先したい」「初心者で安心重視」など自分が譲れない点で判断してください。

13.2 シーン別おすすめ(週末/連休/長期休暇)

  • 週末2~3日の短期旅行なら:ホーチミンがおすすめ。効率よく主要スポットを回せ、空港アクセスも良い。
  • 年末年始や大型連休5~7日なら:ハノイ&周辺が充実。郊外ツアーを組み込み、多彩な体験が可能。混雑はあるが秋~冬の北部は気候◎。
  • 長期休暇10日以上なら:両方訪問も視野に。国内移動しやすいし、せっかくなら南北どちらも体験してほしいところです。
  • ワーケーション1ヶ月以上なら:ホーチミンが生活快適。ただし静かな環境希望ならハノイorダナンも検討。

以上、様々な角度からの比較情報を提供しました。次章のQ&Aでは、よくある疑問に簡潔にお答えします。

14. よくある質問(FAQ)

最後に、初めてベトナム旅行を計画する方からよく寄せられる質問とその回答をまとめます。行き先選びの参考にしてください。

14.1 初回訪問はどちらが満足度が高いか?
A:総合的にはホーチミン市が無難です。南国の活気ある雰囲気、観光客への受け入れ態勢の整い方、英語の通じやすさなど、初心者でも楽しみやすい点が多いため。実際「ベトナム初心者にはホーチミンが安心」との声もあります。一方でハノイは伝統文化や世界遺産など旅行の醍醐味が詰まっており、歴史好きにはたまらない街です。ただし英語が通じにくい場面があり自由行動のハードルは少し高め。結論として、気軽に行くならホーチミン、興味が明確ならハノイでしょう。
(例:戦争史跡やメコン川クルーズに興味→ホーチミン、街歩きや世界遺産重視→ハノイ)

14.2 女性一人旅や夜間外出の安心度は?
A:どちらも大差なく、注意すべき点は同じです。ベトナムは基本的に治安良好ですが、スリ・ひったくりは日常的に起きています。一人旅でも昼間に観光する分には問題ありませんが、夜間は特に人混みでのスリ、路上でのバイクひったくりに注意を。ホーチミンのバックパッカー街などでは酔客に近づくスリ事件もありますので、お酒の席では荷物管理を万全に。旧市街のビアホイ通り(ハノイ)やブイビエン(ホーチミン)は賑やかですが、遅くまで一人で滞在せず適度な時間で切り上げましょう。女性一人旅でも、タクシーやGrabを上手に使えば安全に移動できます。ホテルも評判の良いところを選べばスタッフが親切にフォローしてくれます。ホーチミンの方が英語が通じやすいので困った時助かりやすいかもしれません。いずれにせよ、自分の身は自分で守る意識を持ちつつ、勇気を持って楽しんでください。

14.3 英語・現地言語の通じやすさとコミュニケーションは?
A:ホーチミン市の方が英語は通じやすいです。観光客に慣れた人が多く、飲食店やショップでも簡単な英語ならOKなことが多いです。ハノイは保守的で英語が苦手な高齢者も多く、ローカル食堂ではベトナム語メニューのみという場面もあります。ただ観光地や若い世代なら英語ができる人も増えていますし、ホテルスタッフは英語対応が基本です。日本語は残念ながら両都市ともほぼ通じません。日系旅行会社の現地ツアーや日系ホテルでは日本語可の場合もありますが、一般には期待できません。コミュニケーションは、笑顔とジェスチャー、翻訳アプリを駆使しましょう。多少言葉が通じなくても、お店の人は親切に対応してくれることが多いです。英語力に不安がある場合、ホーチミンの方が安心度は高いですが、ハノイも観光客慣れしてきています。要は臆せずチャレンジする気持ちが大事です。


15.まとめ─あなたに最適なハノイとホーチミンの選び方

ここまで両都市を徹底比較してきましたが、結局のところどっちがいいかはあなた次第です。東アジアの静かな風情を求めるならハノイ、南国のエネルギッシュな雰囲気が好きならホーチミンといった具合に、自分の旅のテーマに合う方を選びましょう。今回比較した内容を参考にして、迷いが晴れたなら幸いです。もしどうしても決められなければ、欲張って両方訪れる旅程もありかもしれません。北と南で全く違う表情を見せるベトナムは、一度行けばきっとあなたを魅了するでしょう。ぜひ最適な旅先を選んで、素晴らしいベトナム旅行を楽しんでください。

※本記事の内容・航空券相場・ホテル料金・観光情報は 2025年10月時点 のデータをもとに作成しています。
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