初心者向けに日本株の代表的株価指数「東証株価指数(TOPIX)」と「日経平均株価」についてわかりやすく解説します。過去約20年のデータでリスク・リターンを比較し、積立(ドルコスト平均法)・長期投資のメリットも紹介。資金が少なくても継続投資の効果を得られるか考えます。
日本株に興味はあるけど、どこから始めたらいいかわからない──そんな初心者の方に向けて、今回は「東証株価指数(TOPIX)」と「日経平均株価」という代表的な二つの株価指数をわかりやすく解説していきます。
名前は聞いたことがあっても、その違いや特徴をきちんと理解している人は意外と少ないかもしれません。さらに今回は、過去約20年分のデータをもとに、両指数のリスクとリターンを比較しながら、積立(ドルコスト平均法)や長期投資がどのような効果をもたらすのかも一緒に見ていきます。「資金が少ないけど投資を始めたい」という人にも参考になる内容になっていますので、ぜひ最後まで読んでいってください。

目次
- トピックスと日経平均株価の違い
- リスク・リターンを過去データで比較
- 積立投資・長期投資のメリット
- トピックスと日経平均株価、どちらが積立に向いている?
- まとめ
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1. トピックスと日経平均株価の違い

日本株の代表的な株価指数に「東証株価指数(TOPIX)」と「日経平均株価」があります。両者には以下のような主な違いがあります。
- 対象銘柄数と算出方法: TOPIXは東京証券取引所プライム市場(旧東証1部)の全銘柄(約1,800銘柄以上)を対象とし、それらの「浮動株時価総額」を指数化したもの。一方、日経平均株価はプライム市場上場の代表225社を選定し、株価を平均して算出します。つまりTOPIXは市場全体を広く反映するのに対し、日経平均は銘柄数225に限定される点が大きな違いです。
- ウェイトの違い: TOPIXは「浮動株時価総額加重型」とされ、浮動株(市場で自由に売買される株式)の時価総額の大きさに応じて各銘柄の指数寄与度が決まります。言い換えれば、時価総額の大きい大型株の値動きが指数全体に大きく影響します。一方、日経平均株価は株価平均型の指数で、225銘柄の株価を「株価換算係数」で調整して合計し、除数で割って算出されています。つまり株価が高い銘柄ほど指数に与える影響が大きく、時価総額は考慮されません。
- 影響度の違い: この違いにより、日経平均株価は高値株の影響を受けやすいのが特徴です。例えば、2023年4月末時点で日経平均構成銘柄1位はユニクロを展開するファーストリテイリングで、指数の約11%を占めていました。高い株価の銘柄が少数存在すると指数の変動幅が大きくなる傾向があります。一方、TOPIXはより多くの銘柄を含むため、1銘柄あたりの影響度は小さく、分散が利いた性質といえます。ただしTOPIXも大型株に偏るため、上位銘柄の動向には一定の注目が必要です。
以上から、TOPIXは「東京証券取引所に上場する日本株市場全体の動向」を表し、日経平均株価は「代表的な225社の動きを集約」したものと言えます。対象範囲と算出方法の違いから、一般に日経平均株価は値動きが大きく、TOPIXは比較的安定しやすい特徴があります。
2. リスク・リターンを過去データで比較

ここでは、過去15年~20年(約2004~2024年)におけるTOPIXと日経平均株価のリターン(年率平均リターン)とリスク(年率標準偏差)を比較します。のデータをもとにまとめると、以下のようになります。※日経平均株価は配当再投資なし(価格指数)です。
| 指標 | 期間 | 年率平均リターン | 年率リスク(変動性) |
|---|---|---|---|
| TOPIX | 15年 | 約9.3% | 約15.5% |
| TOPIX | 20年 | 約6.3% | 約16.8% |
| 日経平均株価 | 15年 | 約7.9% | 約17.0% |
| 日経平均株価 | 20年 | 約5.6% | 約18.4% |
- 上表から、過去長期ではTOPIXの年率リターンが日経平均株価よりやや高く、リスクは低いことがわかります。例えば過去15年では、TOPIX(配当込み)の年率平均リターンが約9.3%、リスク約15.5%なのに対し、日経平均はリターン約7.9%、リスク約17.0%でした。20年平均でも同様の傾向です。なお日経平均株価は配当再投資を考慮していないため、実際に配当を再投資するとリターンはもう少し大きくなりますが、目安として参考になります。
- 年ごとの成績を見ると、年度によってどちらの指数が優位かは変わります。野村アセットマネジメントによれば、2024年は日経平均株価が4指数中最高の上昇率となった一方、2022年は4指数とも下落する中、TOPIXの下落率が最も小さかったと報告されています。つまり、市場全体が大きく上昇した局面では日経平均の上振れが目立つ年もあれば、急落局面ではTOPIXの広い分散効果で下げ幅が抑えられる年もあるわけです。
- 2002年~2020年の長期データでは両指数の動きは非常に高い相関(0.97)を示し、大局的には似た傾向をたどっていますが、日経平均株価のほうがわずかに値動きが大きいことがわかっています。実際、同期間の月次リターンの標準偏差はTOPIXが約5.0%、日経225が約5.4%であり、日経平均のほうが若干変動が大きかったと報告されています。
以上のデータから、TOPIXはリターンが高めかつリスク(変動幅)が低めという歴史的傾向が見られます。このように、長期的には両指数のパフォーマンスは概ね似ていますが、TOPIXのほうが若干安定的であるため、リスクを抑えたい投資家にとって魅力的といえます。
3. 積立投資・長期投資のメリット

投資初心者や少額資金で始める場合、積立投資(ドルコスト平均法)と長期投資には大きなメリットがあります。ドルコスト平均法とは「一定額」を定期的に投資し続ける手法のことで、つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)などでもこの仕組みを利用します。この方法の主なメリットは以下の通りです。
- リスク分散と価格平均効果:市場は常に上昇や下落を繰り返すため、株価が高いときには少量しか買えず、株価が安いときには多く買えることになります。結果として平均購入価格が下がり、中長期でみればリスク(価格の振れ幅)を抑えつつ投資成果を得やすくなります。実際、NLI基礎研究所の分析によれば、投資期間を30年程度に設定した長期投資ではドルコスト平均法の有効性が確認されています。
- 精神的な安定と継続力:少額からコツコツ投資するため、マーケットの急落時にも精神的な負担が軽く、投資を継続しやすい点も見逃せません。一括投資のように大金を一度に投入する必要がないので、始めやすく続けやすいのが特徴です。
- 複利効果:積立期間が長くなるほど、得られたリターンに対しても再投資による収益が期待できます。たとえば毎月1万円を20年間積み立て、仮に年率5%のリターンが継続すると、最終的には数百万円程度の資産形成が見込まれ、元本に対して大きな恩恵を受けられます。長期投資で積み立てを続ければ、複利効果が強く作用し、より大きなリターンが期待できます。
- 市場のタイミングリスク回避:積立投資は市場の買いのタイミングを分散するため、一時的な高値掴みのリスクを減らせます。どのタイミングで市場が下がるか予測が難しい中で、毎月定額を投入し続けることは初心者のリスク管理手法として合理的です。
以上のように、積立投資を長く続けることで、市場の上げ下げを平均化し、また複利の恩恵を得ることができます。特に日本株では長期的に見れば成長が期待できるケースも多く、時間を味方にする積立投資は資産形成に適しています。
4. トピックスと日経平均株価、どちらが積立に向いている?

以上の比較をふまえ、投資初心者が少額を積立投資する際、TOPIXと日経平均株価のどちらに投資すればよいでしょうか。
- 分散効果とリスク特性:TOPIXは市場全体に広く分散した指数であり、リスク(変動幅)が日経平均株価より低い傾向があります。これに対し日経平均株価は代表株225社に絞られるため、銘柄数が少なく、一部高騰・急落銘柄の影響を受けやすい構造です。積立投資ではリスクを抑えることも重要な視点なので、幅広く分散できるTOPIXのほうが好ましい場合があります。
- 長期リターン:過去の実績では、長期平均リターンでTOPIXが日経平均を上回ってきたケースもあります。もちろん市場環境や期間によって結果は変わりますが、統計的にはTOPIXのほうがハイリターンかつ低リスクだった期間が多かったと言えます。一方、日経平均は一部の好業績株が指数を牽引するため、大相場時にはTOPIX以上に伸びることがありますが、底値圏では下げも大きくなりがちです。
- 投資コストや金融商品:日本株のインデックスファンドやETFでは、TOPIX連動型のものも日経平均連動型も豊富にあります。最近はTOPIX連動のETFや投資信託のコスト(信託報酬)が低下傾向にあり、積立投資でも選びやすくなっています。一方で日経平均連動のETFも歴史が長く、分配金利回りが低くない商品もあります。ただし、手数料面や流動性ではどちらも大差はなく、手数料差よりも指数の性質で選ぶことが多いでしょう。
- 心理面・資金面:初心者で「資金に余裕がない人」には、一度に大金を使わず、リスクを抑えられる投資先が安心です。幅広い企業で構成されるTOPIXは、大きな個別リスクを低減する意味でも向いています。日経平均株価は騰落率が大きくなりやすいため、相場の急変時に慌てやすい人には少しハードルが高いかもしれません。
まとめると、どちらの指数にも長所と短所がありますが、より広範な分散投資効果と安定性を重視するならTOPIXが適していると言えます。もちろん日経平均株価も長期では資産形成に有効な指数ですが、積立投資においては「下落時に耐える力」が重要なため、TOPIXの方が心情的にも合理的な選択となる場合が多いでしょう。
5. まとめ

本記事では、東証株価指数(TOPIX)と日経平均株価の違いを初心者向けに解説し、過去15~20年のデータでリスク・リターンを比較しました。主なポイントをまとめると以下の通りです。
- TOPIXと日経平均株価の違い: TOPIXは東証プライム市場上場全銘柄(浮動株)を対象とし時価総額加重で算出される広範な指数です。日経平均株価は代表225銘柄の株価平均で、株価水準の高い銘柄の影響を受けやすい指数です。
- リスク・リターン比較: 過去データではTOPIXの年率リターンが日経平均株価より若干高く、年率リスク(変動性)は低い傾向でした。年度ごとに勝ち負けは入れ替わりますが、TOPIXは大局的に安定感があり、日経平均は大相場では高リターン・高リスクとなるケースが目立ちます。
- 積立投資・長期投資の効果: ドルコスト平均法で少額を長く積み立てれば、価格変動が平準化され、複利の効果も得られます。投資期間30年以上など長期で見ると、継続的な積立は有効とされています。特に初心者が資金量に応じてリスクを抑えながら投資を続けるには適した手法です。
- どちらを選ぶか: 資金が少ない初心者向けには、TOPIX連動商品が向いている可能性が高いです。銘柄数が多く分散性に優れており、長期積立で暴落リスクに耐えやすいためです。一方で日経平均株価は相場上昇時の伸びが期待できますが、値動きが大きい点に注意が必要です。いずれにせよ、重要なのは毎月一定額を投資し続けることで、複利と分散のメリットを享受することです。
長期・積立投資では、一時的な株価の上下よりも「継続できるか」が最大のポイントになります。TOPIXは市場全体を広くカバーするためリスク低減効果が高く、少額投資でも安定した資産形成をサポートしてくれます。投資初心者や個別銘柄選びに迷う方、余裕資金が限られる方は、TOPIX連動の積立投資から始めてみるとよいでしょう。