オルカンを保有していると、円高になったときに「どれくらい基準価額が下がるのか」が気になる人も多いのではないでしょうか。

オルカンは日本を含む世界中の株式に投資していますが、資産の多くは海外株式です。そのため、海外の株価が変わらなくても、円高が進むと円換算した資産価値が下がる可能性があります。

例えば、1ドル160円から140円まで円高になった場合、為替だけを見るとドル建て資産の円換算額は12.5%減少します。ただし、オルカンには日本株や米国以外の株式も含まれているため、単純に「オルカンも12.5%下がる」とは限りません。

この記事では、1ドル160円から140円になった場合を例に、円高でオルカンがどれくらい下がる可能性があるのかを具体的に計算します。

あわせて、株高や株安が同時に起きた場合の値動き、円高になったときに売るべきか、積立投資にはどのような影響があるのか解説します。

1. 円高になるとオルカンが下がりやすい理由

オルカンの正式名称は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」です。

日本を含む先進国と新興国の株式に投資し、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスへの連動を目指しています。

オルカンは、外貨建て資産について原則として為替ヘッジを行いません。そのため、海外株式の現地通貨での価格が変わらなくても、円高になると円換算した資産価値が下がります。

例えば、100ドルの米国株を保有している場合を考えてみましょう。

為替レート円換算した金額
1ドル160円16,000円
1ドル140円14,000円

株価が100ドルのままでも、為替が160円から140円になるだけで、円換算した金額は2,000円減少します。

これが、円高になるとオルカンの基準価額が下がりやすい理由です。

2. 1ドル160円から140円になると何%下がる?

1ドル160円から140円になった場合、ドル建て資産の円換算額は次のように変化します。

140円 ÷ 160円 = 0.875

つまり、ドル建て資産の円換算額は12.5%減少します。

ただし、オルカンには日本株も含まれています。

MSCIの公式ファクトシートでは、MSCI ACWIの国別構成比は米国が約63.5%、日本が約5%となっています。構成比は株価などによって変動するため、固定された数字ではありません。

日本株を約5%、海外株を約95%として計算すると、次のようになります。

日本株5%+海外株95%×0.875
=0.05+0.83125
=0.88125

したがって、オルカン全体では、

1-0.88125=0.11875

約11.9%下落する計算です。

100万円分のオルカンを保有していた場合は、次のようになります。

100万円×0.88125=88万1,250円

世界の株価が変わらず、円が外国通貨全体に対して同程度上昇したと仮定すると、100万円が約88万円になるイメージです。

3. 為替レート別の下落シミュレーション

1ドル160円の時点から円高になった場合を、同じ条件で計算すると次のようになります。

為替レート外貨資産の円換算変化オルカン全体の概算100万円の評価額
160円から150円-6.25%約-5.9%約94万625円
160円から140円-12.5%約-11.9%約88万1,250円
160円から130円-18.75%約-17.8%約82万1,875円
160円から120円-25.0%約-23.8%約76万2,500円

これは、日本株が約5%、海外株が約95%で、世界の株価がまったく動かないと仮定した単純計算です。

実際には株価も毎日変動するため、この表と同じ結果になるとは限りません。

4. 株価が上がれば円高の影響はなくなる?

株価が上がれば、円高によるマイナスを小さくできます。

ただし、株価が少し上がっただけでは、円高の影響を完全に打ち消せない場合があります。

1ドル160円から140円になり、日本株は変わらず、海外株だけが動いた場合を計算してみましょう。

海外株の値動きオルカン全体の概算
海外株が20%上昇約4.8%上昇
海外株が10%上昇約3.6%下落
海外株が変わらない約11.9%下落
海外株が10%下落約20.2%下落

海外株が10%上昇しても、為替による12.5%のマイナスを完全には補えません。

1ドル160円から140円になった場合、為替の影響を完全に相殺するには、海外株がおよそ14.3%上昇する必要があります。

したがって、正確な表現は次のようになります。

株価が上がれば、円高による下落を一部相殺できます。
一方、株安と円高が重なると、下落幅がさらに大きくなります。

「株価が上がれば円高の影響を打ち消せる」と単純に考えるのではなく、株価の上昇率と為替の変動率の両方を見ることが重要です。

5. ドル円が160円から140円になっても、必ず12%下がるわけではない

注意したいのが、オルカンは米国株だけに投資する商品ではないという点です。

MSCI ACWIにおける米国の比率は約63.5%で、日本は約5%。残りは英国、カナダ、台湾をはじめとする世界各国の株式です。

そのため、オルカンが影響を受ける通貨には、次のようなものがあります。

  • 米ドル
  • ユーロ
  • 英ポンド
  • カナダドル
  • 台湾ドル
  • スイスフラン
  • 豪ドル

仮にドル円だけが160円から140円になり、ドル以外の為替レートがまったく変わらない場合、海外資産全体が12.5%下がるわけではありません。

米国比率の約63.5%だけに12.5%のマイナスが発生すると単純化すると、

12.5%×63.5%=約7.9%

オルカン全体への影響は、概算で約8%となります。

ただし、これは米国の国別構成比をドルへの為替感応度として使った簡易的な計算です。実際の値動きを正確に示すものではありません。

重要なのは、次の違いです。

ドル円だけの円高
オルカン全体が同じ割合で下がるとは限らない

円が多くの外国通貨に対して全面的に上昇
海外資産全体に円高の影響が広がりやすい

「1ドルが何円になったか」だけではなく、円がほかの通貨に対してどのように動いているかも確認する必要があります。

6. 円高になったらオルカンを売るべき?

円高だけを理由に、すぐオルカンを売るべきとは限りません。

売却を考える前に、次の点を確認する必要があります。

投資する予定だった期間

10年や20年を想定していたのか、それとも数年以内に使う資金だったのかによって対応は変わります。

近いうちに使う予定のお金まで株式に投資している場合は、為替だけでなく株価下落にも耐えられない可能性があります。

下落しても保有を続けられる金額か

オルカンは世界中に分散されていますが、元本が保証されている商品ではありません。

円高と世界的な株安が重なれば、20%以上下落する可能性もあります。

生活費や近いうちに使う資金を確保したうえで、価格が下がっても保有を続けられる金額に抑えることが重要です。

為替だけで投資判断をしていないか

為替の将来を正確に予測することは困難です。

円高になると思って売却した直後に円安へ戻ったり、円高が進んでも世界の株価が上昇したりする可能性があります。

為替だけで売買を決めるのではなく、投資目的、保有期間、資産配分を基準に考える必要があります。

7. 円高には積立投資にとってプラスの面もある

すでに保有しているオルカンにとって、円高は基準価額を押し下げる要因です。

一方、これから積み立てる資金については、基準価額が下がることで、同じ金額でも多くの口数を購入できる場合があります。

例えば、毎月3万円を積み立てている場合、基準価額が高いときよりも低いときの方が購入できる口数は多くなります。

つまり、円高には次の二つの側面があります。

  • 保有中の資産は円換算で下がりやすい
  • 新しく積み立てる資金では安く購入しやすい

円高を一方的に悪いものと考えるのではなく、保有資産と今後の積立を分けて考えることが大切です。

8. まとめ|160円から140円なら約12%下落が一つの目安

1ドル160円から140円になった場合、ドル建て資産の円換算額は12.5%減少します。

オルカンの日本株比率を約5%、海外株比率を約95%として、円が外国通貨全体に対して同程度上昇したと仮定すると、オルカン全体では約11.9%下落する計算です。

100万円を保有していた場合は、約88万円になります。

ただし、実際のオルカンの値動きは、次の要因によって決まります。

  • 世界各国の株価
  • ドル円を含む複数の為替レート
  • 国や地域の構成比
  • 配当や運用コスト
  • 日本株の値動き

そのため、ドル円が160円から140円になったからといって、必ずオルカンが約12%下がるわけではありません。

株価が上昇すれば円高による下落を一部相殺でき、反対に株安と円高が重なれば、下落幅はさらに大きくなります。

オルカンの値動きを見るときは、為替だけでなく、世界の株価と為替を分けて確認することが重要です。


※本記事のシミュレーションは、一定の条件を置いた単純計算です。税金、信託報酬、売買費用、配当、実際の通貨構成などは考慮していません。特定の商品に対する購入・売却の推奨ではなく、将来の運用成果を保証するものではありません。